香川では家を建てたら「お風呂でうどんを食べる」って本当? | ニコニコニュース

画像提供:公益社団法人香川県観光協会
SUUMOジャーナル

うどん消費量が日本でもっとも多い、うどんの本場・香川県。「香川県は電柱の数よりもうどん屋が多い」、「蛇口をひねるとうどんのだしが出る」など、うどんにまつわるさまざまな都市伝説があるが、なかでも気になるのは「家を新築したらお風呂でうどんを食べる」という風習。はたして本当なのだろうか?
『初風呂うどん食え』は香川県西部を中心に行われている風習

実態を知るために、香川県の公式観光サイト『うどん県旅ネット』を運営する、公益社団法人香川県観光協会の川西さんに話を伺った。

ズバリ単刀直入に、新築のお風呂でうどんを食べる風習が実在するのか伺ったところ「たしかにそういった風習は地域によってはあるようです。しかし当協会のなかでは、お風呂でうどんを食べた経験のある人はいませんでした。ただ、ある職員は親戚の家では食べていると聞いたことがあるそうです」(川西さん)

どうやら、たしかに食べる風習は存在するようだ。しかし、なぜ新築のお風呂でうどんを食べるようになったのだろうか? 詳しく話を聞いてみると、『初風呂うどん食え』という風習で、香川県西部を中心に今もなお行われているよう。

家を新築した際には、新しいお風呂に年長者から順に入り、湯船のなかでうどんを食べる。そうすることで「中風(ちゅうふう:脳血管障害の後遺症である半身不随や手足のしびれなど)せずに、太く長く生きられるように」という願いが込められているとの説があるようだ。大学受験やスポーツ大会の前日に、トンカツやカツ丼を食べる“願掛け”と同じようなものだろうか。

ちなみに、いつごろからはじまった風習なのかは、同協会でも把握していないそう。また、川西さんは香川県東部のご出身なのだが、同協会に入るまでは『初風呂うどん食え』を知らなかったとのこと。香川県なら、“当たり前”の風習というわけではないようだ。

都市伝説を実現させるのが香川流!?

さて、冒頭でも少し触れたが、香川県には「蛇口をひねるとうどんのだしが出る」という都市伝説もある。セルフサービスのうどん屋で、自分でだしを注ぐタンクの話題が独り歩きしたものだが、香川県はそれをほうっておかず、高松空港内に“ひねるとかけだしが出る”蛇口を本当につくってしまった。特産品展示PRコーナー『空の駅かがわ』の一角にある蛇口は、1日10L限定でうどんだしの試飲ができる。高松空港へ行った際は要チェック。

【画像1】備え付けのコップで誰でも試飲ができるそうだ(画像提供:公益社団法人香川県観光協会)

また、毎年7月2日ごろ、暦の上の半夏生(はんげしょう)は『うどんの日』とされている。夏至から11日目の半夏生には、田植えや麦刈りを終えて労をねぎらうために、うどんを打って食べる風習があり、それにちなんで、7月2日は『うどんの日』と制定されたのだとか。ちなみに、うどんの日には香川県高松市内で、天満神社へうどんを奉納する『献麺式』が行われる。献麺式後は、同市内で無料のうどんが振る舞われ、毎年大勢の人でにぎわうそう。

ほかにも、引越しそばならぬ『引越しうどん』、元旦には『年明けうどん』など。さすがはうどん県! と言いたくなる風習が多い。とはいえ、入浴中や入浴直前での食事は、心臓に負担がかかりやすいと言われているため、健康を考えると『初風呂うどん食え』は注意が必要かもしれない。

●公益社団法人香川県観光協会『香川県公式観光サイト うどん県旅ネット