社会問題になっている「ブラックバイト」問題で、新たに悪質なケースが発覚した。大手飲食チェーン店の「しゃぶしゃぶ温野菜」で、学生アルバイトが劣悪な労働環境下で勤務させられていたというのだ。
この件について、労働組合ブラックバイトユニオンは9月10日、「しゃぶしゃぶ温野菜」のフランチャイズの運営会社と、フランチャイズの本部であるレインズインターナショナルに団体交渉を申し入れたと発表した。
4か月連続で無休勤務。十数万円の自腹購入もブラックバイトユニオンのブログによると、「しゃぶしゃぶ温野菜」でアルバイトをしていた大学生のAさんは、昨年5月から勤務を開始。当初は週4日、1日5時間程度の勤務だったが、12月頃から勤務時間の延長や出勤日数の上乗せを求められるようになった。
今年の4月12日から8月11日までの4か月間は、1日の休みもなく連続勤務を強いられたうえ、この数か月間は12時から25時過ぎまで1日12時間も働かされていたという。
店の商品(食べ放題10人前で3万数千円)などの自腹購入を何度も強制され、十数万円を支払ったことも。店長から「家に行くからな。殺してやる」という脅迫の電話がかかってくることもあったという。
このような状態が続いたためAさんは「精神的にも肉体的にも多大な被害を受けたうえ、アルバイトのために大学にも通えなくなって、今年度の前期の全ての授業の単位を落としてしまいました」ということだ。
さらに毎日新聞の報道によると、会社は労働時間の半分の賃金しか払っておらず、男性は長時間労働やハラスメントでうつ状態となって休職しているという。
なお、ユニオンのブログでは「運営会社」とされているが、レインズインターナショナルの発表によると、フランチャイズ加盟企業でアルバイトを雇用していたのはDWE JAPAN株式会社。問題が起きたのは千葉県内の店舗と見られる。
「4000万円の損害賠償請求」ちらつかせ辞めさせずこのニュースを知った人からは、その内容の悪質さに驚きの声があがっている。
「この会社のやってる事、完全に犯罪じゃないか…」
「バイト相手になぜここまで高い要求課そうと思うのか」
「これ、パワハラじゃない!恫喝であり脅迫!犯罪。いじめとかと一緒で『なんで刑事事件にならないの?』案件」
その一方で「なんでさっさと辞めないんだろ」「どこまでが真実か分からないけど、なんでバイトなのに辞められないの?」という意見もあるが、辞めようにも辞められない状況に追い込まれていたようだ。産経新聞の報道によると、Aさんが退職を申し出ると店長から、
「ミスが多いから懲戒免職」「どうやって責任を取るんだ」
などと言われ、4000万円の損害賠償請求を示唆されることもあったという。
団体交渉を申し込まれたレインズインターナショナルは9月11日午前、「当該申入れの内容及び当該申入れに係る事実関係を精査したうえ、適切に対応して参る所存でございます」とコメントを発表。11日15時現在、DWE JAPANからの発表はない。
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