現地時間11日、カナダで開催中の第40回トロント国際映画祭でリドリー・スコット監督がマット・デイモンを主演に迎えてアンディ・ウィアーのSF小説「火星の人」を映画化した『オデッセイ』がワールドプレミア上映され、スコット監督、マット、原作者のウィアーをはじめ、『インターステラー』のジェシカ・チャステイン、『イカとクジラ』のジェフ・ダニエルズ、『アントマン』のマイケル・ペーニャ、『ロード・オブ・ザ・リング』のショーン・ビーン、『それでも夜は明ける』のキウェテル・イジョフォー、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のセバスチャン・スタン、『マジック・マイク XXL』のドナルド・グローヴァー、『ファンタスティック・フォー』のケイト・マーラら豪華キャスト陣が一堂に会した。
チームでの火星探査中に一人嵐に飛ばされ、死亡したと思われたために置き去りにされた宇宙飛行士マーク・ワトニーが、科学の力を駆使して4年後に予定されている次の火星でのミッションまで生き残ろうとするさまを、洗練されたユーモアと懐かしのポピュラーミュージックと共に描く本作。マットが独りきりでも前向きな気持ちを失わず、日々のビデオログを撮り、せっせとジャガイモ畑を作り、地球との交信手段を見つけるマークを好演しているほか、地球で救出に挑むNASAスタッフ、まだ宇宙に居るチームメンバーにふんする芸達者なキャストのアンサンブルも素晴らしく、ワールドプレミアに先立って行われたプレス向けの試写では笑いが絶えなかった。
会見に出席したマットは、ほぼ独りでの撮影はチャレンジだったのでは? と聞かれると「物語にはたくさんのカットバックがあって、素晴らしい俳優たちがエキサイティングなことをしている。だから実のところ、誰も退屈させることはないだろうと思ったよ。僕がそうしようとしたら、カットバックでほかのストーリーが始まるわけだから」とジョーク交じりに答えて会場を沸かせると、「全てのユーモアは本にあった。金メダルの優れた脚本を手にしたなら、それを銅メダルにはしたくないからね」と『ワールド・ウォー Z』のドリュー・ゴダードが手掛けた脚本を称賛。
原作者のウィアーも「実際、実写化を心配するようなことはなかった。ドリューはそんなことをする必要はなかったんだけど、何度も電話をくれてたくさん話をして、脚本も送ってくれた。だからフィードバックをして、その中の一部が(笑)採用されたりしたよ」と明かし、出来上がった映画を観たときは感動のあまり泣かないようにするのに必死だったとコメント。本作を「楽天的で希望に満ちた映画」と表現したマットは、「こうした作品を過酷な時代に発表することは、僕たちの仕事でもあると思う」と穏やかに語っていた。(編集部・市川遥)
映画『オデッセイ』は2016年2月よりTOHOシネマズスカラ座ほか全国公開