人生で一度も女性とお付き合いしたことがありません | ニコニコニュース

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いまやツイッターのフォロワー数27万人。世界陸上のメダリストで、ベストセラー『諦める力』の著者、為末大さんが、世界の問題から身近な問題まで、「納得できない!」「許せない!」「諦められない!」問題に答えます。(お悩みの募集は締め切りました)。

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お悩みファイル2■彼女がほしいです!
彼女を作るにはどうしたらよいでしょうか? 私は人生で一度も女性とお付きあいをしたことがありません。行動しないと始まらないので、イベントやサークルに参加して交友関係を築こうと努力しました。しかし、うまくいくことはありませんでした。女性を紹介してくれる友達もいないし、このことを打ち明けられる友達もいません。原因と対応策をご教示ください。(男性・無職・31歳)

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北方謙三先生だったら一言、「ソープに行け」ということなんでしょうけれど(笑)。

パッと思ったのは、アスリートにとっての緊張の話に通じるところがあります。上手くやろうとしすぎることが、上手くいかないことの原因になっている状態ですね。この人の悩みの本質は、じつは「女性とつき合えない」ということよりも「自分を上手くコントロールできない」ということのような気がします。しかも自分に対する要求水準が高すぎる状態。「友だちなんていない」というのも「友だちとは何でも話せる関係である」という親密度合いの理想像みたいなものがあって、「ただの知り合いは友だちではない」と区切ってしまっているのではないでしょうか。

友だちが多い人って、ほとんど例外なく「知り合いを友だちと思いこめる力」が強い人だと思うのですが、おそらくこの方はそんなふうには考えられない。異性関係についてもなにか「真髄はこれ」みたいな高い理想があって、それがあまりに高すぎるので、最初の一歩もなかなか踏み出せないでいるような印象を受けます。まずは自分と他者に対する期待値を下げることだと思います。自分にも他人にも求めすぎないことです。女性を紹介してもらうのは「友だち」でなくても「知り合い」に頼んでもいいじゃないですか。いきなりただ1人の「彼女」じゃなくても「女性の顔見知り」を増やすことからでもいいじゃないですか。

世の中の多くのことは「ごっこ」で成り立っていると僕は思っています。イベントとかサークルにも参加してみたけれどうまくいかなかったのは、そこで本物の人間関係を築こうとか、自分なりの役割を果たそうなどと意気込みすぎて、かえって空回りしてしまったのではないでしょうか。この方は「出会いに感謝!」とかおそらく絶対言いそうにもないタイプですが、たまにはそういう自分を演じてみてもいいと思います。

とにかく自分の緊張をほぐすことが大事。そして、女性の気持ちを過剰に配慮しすぎないことです。人間関係のパワーバランスは常に揺れ動いているわけですが、そのバランスをうまく保つことにばかり気を取られていると絶対に場の主導権はとれない。「あなたはどうしたいですか?」ではなくてときには「僕はこうしたいんです」と自分のエゴを出してみると、おそらく今までとは違った状況が経験できると思います。といっても、いままでの自分をよく知っている人に対してやると「どうしたの? キャラ変わった?」みたいなことにもなって面倒なので、いまいるコミュニティの一歩外へ出て試してみるのはいかがでしょうか。

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為末 大(ためすえ・だい)
1978年広島県生まれ。陸上トラック種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2014年10月現在)。2001年エドモントン世界選手権および2005年ヘルシンキ世界選手権において、男子400メートルハードルで銅メダル。シドニー、アテネ、北京と3度のオリンピックに出場。2003年、プロに転向。2012年、25年間の現役生活から引退。現在は、一般社団法人アスリート・ソサエティ(2010年設立)、為末大学(2012年開講)、Xiborg(2014年設立)などを通じ、スポーツ、社会、教育、研究に関する活動を幅広く行っている。http://tamesue.jp

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