<篠原涼子>新相棒・永山絢斗と完結編「アンフェア the end」を語る 「納得のいく終わり方」 | ニコニコニュース

シリーズ完結編となる映画「アンフェア the end」について語った篠原涼子さん(左)と永山絢斗さん
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 女優の篠原涼子さんがクールな刑事、雪平夏見を演じる人気の連続ドラマ「アンフェア」(フジテレビ系)の劇場版第3弾で完結編となる「アンフェア the end」(佐藤嗣麻子監督)が、全国で公開中だ。主演の篠原さんと今作の新キャストで雪平の新相棒となるシステムエンジニア、津島直紀役の永山絢斗さんに撮影のエピソードや見どころなどを聞いた。

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 ◇10年続く人気シリーズ

 「アンフェア」は2006年1月期に連続ドラマが放送され、07年に劇場版第1弾「アンフェア the movie」、11年に劇場版第2弾「アンフェア the answer」が公開されヒットを記録した人気シリーズ。篠原さんが演じる雪平夏見は、バツイチ、子持ち、大酒飲み。だが、検挙率ナンバーワンの敏腕で、過去に犯人を射殺した経験のある唯一の刑事という役柄。元夫・佐藤和夫(香川照之さん)の死と引き換えに、国家を裏で操る秘密組織の機密データを手に入れた雪平は、「the end」で再び警視庁捜査1課へと戻り、ついに反撃に出る。雪平が刑事になったきっかけともいえる、父親殺しの真犯人の正体も明らかになる。

 ◇お互いの第一印象は?

 永山さんは今回、「アンフェア」シリーズに初参加だが、兄・瑛太さんが06年のドラマの第1シリーズで雪平の相棒・安藤一之を演じていたため、同シリーズとは不思議な“縁”がある。

 永山さんは今作への出演について「この仕事をする前からドラマは見ていましたし、そのあとも続いているシリーズの作品の最後にまさか呼ばれるとは……という感覚と、プレッシャーももちろんあったんですけれど、やっぱり楽しかったですね。最初の(撮影の)段取りというかテストで『はい』となった瞬間に、篠原さんが雪平になった瞬間はすごくうれしかったですね」と喜びを語る。

 篠原さんは、永山さんに対して「お会いしたらすごく朴訥(ぼくとつ)とした雰囲気を持っている人だなと思って。今回の役に対して、こういうタイプの人がこの役をやったらどういう感じになるのかなというのはすごく興味津々で」と“新相棒”に注目していた。現場では「今回は絢斗くんが芝居にすごく専念されている方だったし、(シリーズに)途中から入ってきた感覚とか、長ぜりふもすごく多かったし、ご本人的にも集中したい時間というのはかなりあったんだろうなというふうにも思ったので、比較的話し掛けなかったんです。極力話さないように遠くから愛の気持ちを持って見つめておりました」と“そっと”しておいたという。

 ◇雪平夏見の魅力

 今作に出演して永山さんは、主人公・雪平夏見の魅力を「(永山さんが演じる)津島をどこかで殺そうと思えば殺せたと思うんですけど、雪平という人物が持つクールさもあると思うんですが、人は信用しないと言いながらどこかですごく人間味がある。近づけば近づくほど奥が見えてくる。そこにとても引かれてしまっていくという感覚はすごく分かったし、そういった魅力は篠原さん自身も持つものだと思う」と表現する。

 演じる篠原さんは永山さんの評価を「うれしい」と喜びつつ、「雪平ってあまり多くを語らないんですよ。そこがやっぱり、一つの魅力で10年も長続きした秘訣(ひけつ)なんじゃないかな。私もなるべくせりふを最小限に削っていただいて。多くを語らずに、でもやることはしっかりやっているその潔さがすごく魅力的だなと思いました。そういう部分は女性として自分にはない部分だったので、演じていてすごく篠原涼子がやっているかもしれないけれど、違う人になり代わっている感じが楽しかったなと、幸せだったなというふうに思いました。雪平夏見を10年間やらせていただいたのは自分にとっても素晴らしい、誇りに思っていいことだと思う」と胸を張る。

 ◇台本になかった裸のシーン

 今作には篠原さんが一糸まとわぬ場面が出てくる。ネタバレになるので詳しくは書かないが、そのシーンは台本にはなく、篠原さんが提案したという。「台本を読んだときにこれはこれでと思っていたんですけれど、撮影の後半部分に入ったときに自分でなんとなく(完成作を)イメージして、雪平夏見って裸になったり、どこかでお色気的なものがどの作品にもあったので、何かないかなということを(監督に)聞いてみたんです。すると『考えてみるわ』ということで考えていただいたのがあのようなシーンで」と明かした。

 その場面の撮影当日には「楽屋で裸になって立って『はい、監督』って。全部ぐるぐる見てもらって。監督はカメラみたいに(篠原さんの周りを)回って、『はい、オーケー。じゃ待ってるよ』って。監督もそのとき『涼子ちゃんの体をちゃんと見ないと、どこのアングルから撮っていいか分からないから』っていう感じだったので、当日まず見てもらって。本当ぶっつけ本番的な雰囲気だったんですよ。でも女性の人に撮ってもらっているし、『アンフェア』という作品は佐藤嗣麻子の世界観なので、そこはお任せして監督のやりたいような形で」と佐藤監督に身を委ねた。篠原さんはその出来に「ドラマでも裸からスタートだったので、裸で締めるというのはいいのかなと(笑い)」と満足げだ。

 ◇強そうな雪平と弱そうな津島のアクション

 篠原さん自身が「結構雪平が今回は戦っているな、雪平強いなという印象になるのでは」というアクションシーンについて、篠原さんは「アクション監督の方々は本当に協力的に、できない私にすごく強そうな演技を与えてくださったので、そのへんは自信を持ってアピールできる」と強調する。

 「カメラマンさんがハンディやっているときに一緒に掛け合いながら動かなきゃいけないところがすごく難しかったですね。カメラが固定されているところで動いている分にはいいんですけど、カメラが一緒になって動いているので、そのへん後ろの人とかぶらないようにとかやりとりが難しかったなというのはありました。ただすごく合わせてくださったので助かりました」と苦労を明かす。

 それを見た永山さんは「素晴らしかったですね。かなり(篠原さんの動きが)キレキレでした」と絶賛する。篠原さんは「永山さんが、アクションすごくやりたい!ってなっちゃって。でも(津島の役柄上、永山さんは)弱そうにやらなきゃいけないんですよ。だって強かったら雪平は助けなくて済みますしね。だから弱くやっているアクションの方が難しいんだろうなって、弱そうに見せている絢斗くんってすごいなと思って見ていました」と称賛の言葉で“お返し”した。

 ◇新キャストのAKIRAは…

 今作には永山さんのほかに新キャストとして「EXILE」のAKIRAさんが出演している。AKIRAさんについて、篠原さんは「怪しかったです(笑い)。今回のAKIRAさんのキャラクターがすごく怪しい役なので、それに本当にぴったりなくらい、役に入り込んでいてちょっとびっくりしました」と衝撃的だったことを明かす。

 だが、カメラが回っていないところでは「(AKIRAさんに)ダンスとか教えてとか言ったんですけど、ちょうど足をけがされていたそうで、それを私、知らなくて『ステップ踏んで』とか言っちゃって……」と恐縮しつつ、キャストの輪に入り込んで「みんな本当にざっくばらんな話をして、なんか『アンフェア』な感じでした(笑い)」と和気あいあいだったようだ。

 同じく新キャストの永山さんは「控室とかで話はしました。一度、プライベートでご飯に行ったことがあって、それぶりにお会いしたので、共通の友人の話とかして、またご飯食べに行きましょうねとかいう話はしましたね」と打ち解けたようだ。

 ◇完結編を迎えて

 さて、今作は10年続いた「アンフェア」シリーズの完結編とうたわれている、10年演じてきた篠原さんは「10年間やらせていただいて、自分にとって本当に大きな作品ですし、誇りに思っていい作品だと自信を持っていえる役、作品だったと思う。あと、キャスト、スタッフの方々に支えていただいた『アンフェア』だったと思うんです。今回で終わるという形なんですけれども、もちろんこの作品がいままで10年間積み重ねたことを台なしにしないように、そしてこの作品に恥じないような作品をまた作りたいなと思います」と決意を新たにしている。

 永山さんは「20代中盤に来て、いろんな役をやってきたんですけど、(20代中盤は)すごく自分の中で頭の中がぐちゃぐちゃになっている時期だったと思うんですけどその時期にこの作品に出演できた、この時期に残せたというのがうれしくて。1年前でも1年後でもきっと違うと思うし、その時期に自分がこの作品に関われたというのは本当に宝物になりました」と胸を張った。。

 今作のラストについて篠原さんは「『アンフェア』ってこれまで続きのある終わり方をずっとしていたので、やっぱりお客様たちも、また次も始まるんじゃないかと期待していると思うんですよ。でも、今回はそういう感じではない終わり方になっているし、もっともっとこの作品で探ってみたいところはもちろんありましたけれども、やはりこういうやり方でないと完結には結びつかないのかなと、納得のいく終わり方なんじゃないかと思いました」と完結に納得している様子。

 でも、永山さんが「すべて解決していく感じがすごく寂しいですよね。見ていて、もうこれで終わっちゃうのかな。本当に雪平にもう会えないのかという寂しさも楽しさもあって。そこがいままでと終わった感じが違うなと思ったんですけど。でも『アンフェア』ですからね(笑い)。終わらないでほしいですね」と続編にかすかな期待を寄せると、篠原さんは「そうなんですよ。スタッフもみんな『アンフェア』なので何をたくらんでいるか分からない(笑い)」と含みのある言葉で締めくくった、「アンフェア the end」は9月5日から全国で公開。

 <篠原涼子さんのプロフィル>

 1973年8月13日生まれ、群馬県出身。90年に東京パフォーマンスドールのメンバーとしてデビュー。94年にリリースした篠原涼子with t. komuro名義のシングル「恋しさとせつなさと心強さと」が大ヒット。90年代後半から女優として本格的に活動し、2006年に連続ドラマ「アンフェア」で主演。その劇場版第1作「アンフェア the movie」で映画初主演を果たす。05年に俳優の市村正親さんと結婚。2児の母。

 <永山絢斗さんのプロフィル>

 1989年3月7日生まれ、東京都出身。2007年にテレビドラマ「おじいさん先生」(日本テレビ系)で俳優デビュー。10年の「ソフトボーイ」で映画初主演し、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その後、数々の映画、ドラマに出演。現在は主演ドラマ「BS時代劇 一路」(NHK BSプレミアム)が放送中。

 (インタビュー・文・撮影:細田尚子/毎日新聞デジタル)