チカクは9月14日、テレビと接続して利用するIoTデバイス「
まごチャンネル」を発表。あわせて、サイバーエージェント・クラウドファンディングの運営するクラウドファンディングサービス「
Makuake」で販売の先行受付を開始した。2016年春にも製品を出荷。サービスを開始する予定。
まごチャンネルは、テレビを利用した動画・写真の共有サービス。その名の通りシニア世代とその孫の世代を結び付けることが主な目的。スマートフォンが利用できなかったり機械に苦手意識があるような、ITリテラシーの低い人であってもサービスを利用できるよう、テレビに「孫の写真・動画専用」のチャンネルができるような体験を提供するという。
サービスはテレビのHDMI端子に接続する「家」をデザインしたセットトップボックスと、専用のスマートフォンアプリ、写真などを保存するクラウドストレージで構成される。利用の準備は、ユーザーがアプリを通じて写真や動画を撮影し、クラウドにアップロードするだけ。写真などはセットトップボックスに自動的にダウンロードされ、そのタイミングで本体が光る(家型の筐体の窓の部分が光る)ので、テレビのリモコンでHDMI入力にチャンネルを合わせれば、最新の写真を閲覧できる。
セットトップボックスのサイズは幅140mm×奥行き140mm×高さ40mm、OSはAndroid。HDMI CECに対応し、テレビのリモコンですべての操作が可能。ストレージは当初8GBを想定すると聞いている。通信にはWi-Fiを利用。スマートフォンアプリはiOSとAndroid向けに用意している。Makuakeでは、30台限定で初期費用(セットトップボックス)と月額使用料3カ月無料(通常月額980円)をセットにして1万2800円から提供する。
チカクは2014年の設立。金額は非公開だが、著名経営者などがエンジェルとして投資を実施している。代表取締役社長の梶原健司氏は、新卒でアップルコンピューター(現:Apple Japan合同会社)に入社。コンシューマー製品のマーケティングなどを担当した人物だ。「アップルでの経験は12年。『ヘタしたら潰れるかもしれない』と言われている中で入社した。そこからiMacやiPodがでて再びアップルは成長を始めたが、その中でマーケティングやセールス、新規事業開発まで、日本で経験できることはすべてやった」(梶原氏)
Steve Jobsが亡くなった2011年に同社を退職した梶原氏。その後友人の会社を手伝うなどしたものの、自分のプロダクトを作りたいという思いが次第に強くなっていったという。
「最初は『アップルにいた人間が作るのだから……』とイノベーティブで格好いいプロダクトを作りたいと考えていた」——そう振り返る梶原氏だが、解決したい課題を考えたとき、真っ先に浮かんだのは、「実家と自分の子どもの写真や動画を共有できていない」ということだった。
勤めていたこともあってありとあらゆるアップル製品も実家に置いたが、リテラシーの高くないシニア世代には、MacやiPadですら操作が難しかった。せっかくDropboxで画像を共有しても、親は操作が分からず見ることができなかったという。周囲の知人に話を聞いてみると、専用機であるデジタルフォトフレームですら操作が難しく、使わなくなっていくシニア世代もいたのだという。
そんなところから、「普段利用する『テレビ』で、しかもリモコンで操作可能」「写真が送られてくると通知があり、自然なコミュニケーションができる」といったコンセプトを持つまごチャンネルの企画を進めていった。「親が孫の写真を見たいと思ったとき、(タブレットなどで)『アプリを立ち上げる』というのは実は大きな課題。それを乗り越えたい」(梶原氏)