ロジテック(和名:ロジクール)はなぜ「Logi」にブランド変更したのか? 「テック」を空手チョップした理由を同社に取材したら、返ってきた答えは意外とアッサリしたものでした。
「tech means nothing.」
新ブランド発表当日にアイルランド支社にお邪魔したら、コミカルな新ロゴのシルクスクリーンを前にブランド開発部門VPのCharlotte Johsさんはこう説明してくれました。
今やテックは至るところにある。空気、服、未来。今さら「テック」と言ったところで意味ないんですよ
まあね。米Gizmodoもずっとタグラインは「Everything is Technology」ですしね。社名を半分にすることも、そんなに珍しい話ではありません。あの「アップル・コンピュータ」も今は「アップル」。
「Logi」っていうと周辺機器というより北欧家具ブランドを連想しちゃいますけど、Logiという一般名詞がないのがミソですよね。もともとスタンフォード卒の創業者2人の専門分野「logiciel」をもじった名前なので、「logic」と混同されることもないし。古代北欧神話の火の神Logiと間違える人もいないだろうし。
何より「Tech」がなくなれば、先行商標の関係で「ロジクール」と呼び換えてる日本ともやっと「Logi」で統一できるメリットが大きいですよね。Logiなら日本語で変な意味もなさそうです。
ちなみに新ブランドを思いついたきっかけは、Bluetoothスピーカーの「Boom」シリーズとのことでした。「Boom」は同社で一番人気のプロダクト。ちょうどLogitechがデザイン重視に路線変更した時期に生まれた製品なんですが、それがLogiTechではどうもしっくりこない。そこで、生まれたのが「Logi」というわけです。
新ロゴは34年前のロゴに比べるとクリーン&モダンで、21世紀的のスタートアップのロゴの条件をすべて満たしています(先頭小文字に至るまで!)。カラーパレットはヴィヴィッドで主張のある色で、これもBoomスピーカー風。
ロジテックといえば、Timothy Wilkinsonさんが生み出したテック界で最もヘンテコなロゴを30年近く愛用してきた会社なので、あのロゴの時代を懐かしむ声も根強くありますけどね。
アップルのデザイン言語「スノーホワイト」を開発したことで知られるフロッグデザイン。そこのインダストリアルデザイナーとして1988年に周辺機器世界最大手メーカーのロゴデザインを命じられたWilkinsonさんは、当時パソコンは1台も持っていませんでした。が、創業者2人が目の前で語る、「コンピュータが暮らしの一部になり、ハードウェアが人体の延長になる」という未来にえらく感動し、その勢いで画板にマウスが目になる絵を手で描き、Emigréマガジン風の書体を切り貼りしてつくった、それがこの初代ロゴです。
こうして今改めて眺めると逝っちゃってますね。でも最高にブリーリアント。1980年代シリコンバレーのオプティミズムと理想主義が完璧に表現されてます。世界を見る目。まつ毛のひとつはコンピュータのカーソルで、上を指している。未来はあっちだよ、と。
時代の流れとはいえ、グーグルといいロジといい、一抹の寂しさを感じるのはなぜだろう。
Darren Orf, Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文1、2]
(satomi)