【モスクワ時事】ロシア全土で13日、連邦構成主体の首長・議会選など統一地方選の投票が始まった。「来年9月の下院選の前哨戦」と位置付けられ、プーチン政権派と反政権派の双方が重視。ただ、ウクライナ南部クリミア半島編入に伴う愛国心高揚、野党勢力への圧力などが奏功し、政権派が「無風」で勝利を収めそうだ。
野党指導者ネムツォフ元第1副首相が2月に暗殺された後、野党勢力は結集に動き、反政権ブロガーのナワリヌイ氏らが合流。4州の議会選に参加を目指したが、必要な有権者署名に「不備がある」という理由から3州で登録を却下された。
2013年のモスクワ市長選に挑戦したナワリヌイ氏は、執行猶予判決を受け、統一地方選には不参加。代わりに9月20日に反政権デモを計画中だ。「民主的選挙や政治犯釈放を求め、ウクライナ軍事介入、検閲、汚職に反対する」と批判を強める。
首長選は、21の連邦構成主体で公選制が採用されたが、政権派候補の「信任投票」に近い。他の3連邦構成主体は議会が承認する事実上の大統領任命制だ。プーチン大統領は12年の3期目就任後、反政権デモを受けた「民主化」で、首長の公選制を復活させたが、依然として大統領が「首長人事」をコントロールしている。
北方領土を事実上管轄するサハリン州では、3月に収賄事件で訴追されたホロシャビン前知事に代わり、プーチン大統領が任命したコジェミャコ知事代行の当選が確実。政権の対日強硬姿勢に変化はなく、四島の支配強化が続くとみられる。