物語を収めるフレーム、その箱すらも視覚効果に一役。
かつて、映画で使われるアスペクト比は、1932年に映画芸術科学アカデミーが定めた、アカデミー比と呼ばれる4:3の1つだけでした。これは1950年代に16:9というアスペクト比の台頭で、廃れることとなります。しかし、現在では、画面サイズの縦横比を映画を作る上での視覚効果として利用し、複数のアスペクト比を用いる場合も少なくありません。ネタ元のNow You See Itが動画にて、そんなアスペクト比による映画の表現方法を解説しています。
ウェス・アンダーソン監督の「グランド・ブダペスト・ホテル」は、アスペクト比利用のいい例です。見た人はわかると思いますが、この映画ではストーリーがぐんと昔に遡ります。ジュード・ロウ氏演じる作家が老紳士から話しを聞くシーンと、映画の主となるレイフ・ファインズ氏演じるホテルコンシェルジュが絵画を巡るドタバタシーンでは、アスペクト比が違います。後者では4:3比が使われ、昔の映画の雰囲気を造り出しているのです。
「(500)日のサマー」では、ポラロイド比と呼ばれる正方形のような比率スクリーンが、過去の思い出シーンで使われています。映画序盤では、このポラロイド比が押し出される形をとることで、我に返るジョゼフ・ゴードン=レヴィット演じる主人公トムの気落ちを表現しています。
他にも、アスペクト比にはウルトラワイドスクリーンと呼ばれる2.35:1があります。SciFi映画や叙情的な大規模予算映画でよく使われるアスペクト比です。日常を描く映画にはミスマッチかもしれませんが、「スター・ウォーズ」のような映画では、その迫力を後押しします。
「インターステラー」や「アポロ13」では、船内シーンと宇宙シーンでアスペクト比を変えることで、宇宙の大きさを表現しています。が、これは実際にスクリーンの大きさが変わるわけですから、その効果は絶大です。
なるほどね。奥が深いアスペクト比のお話でした。
source: Now You See It
Chris Mills - Gizmodo US[原文]
(そうこ)