母親や祖母から虐待を受け続けたのは、児童相談所「長崎こども・女性・障害者支援センター」(長崎市)が適切な対応を怠ったためだとして、長崎県内の女児(10)が県に慰謝料50万円を求め提訴していたことが15日、分かった。提訴は7月23日付。
女児の未成年後見人の伊藤岳弁護士によると、女児は5歳だった2010年4月ごろ、自宅アパートで母親から左肩をライターの火で焼かれる虐待を受けた。治療した病院から通報を受けた児相は、母親を児相に通所させる指導を始めたが、3回目から母親が呼び出しに応じなくなり、11年3月に指導を終結した。
14年10月には、母方の祖母から髪をつかまれ引きずられる虐待を受けた。女児から相談を受けた学校の要請で同年12月、児相を含む関係機関による「要保護児童対策地域協議会」が開催され、児相による一時保護を求める意見が多く出たが、児相は応じなかったという。
女児は昨年末から父方の親族に引き取られ生活している。伊藤弁護士は「児相は虐待から子どもを守る最後のとりで。裁判を通して良い方向に変わってほしい」と話した。
県は「係争中の案件なのでコメントできない」としている。