子どもに少しでもいい教育を受けさせてあげたいと思うのは、親ならば自然のことではあるが、息子3人を東京大学の理科III類(医学部)に入れたという女性が、「受験に恋愛は無駄」と語りネット上で炎上する事態となっている。
話題になっているのは「週刊朝日」の9月18日号に掲載された記事。『受験は母親が9割 灘→東大理IIIに3兄弟が合格!』(朝日新聞出版)という教育本を発売した「佐藤ママ」こと佐藤亮子さんが、精神科医の和田秀樹さんと公開対談したときの様子をまとめたものだ。
「医学部に行けば彼女もできる」というが…記事では、司会から「思春期には恋愛という課題もあります。どう対応すべきでしょう?」と質問を受けた佐藤さんが、「受験に恋愛は無駄です」と断言。女の子とスタバでお茶をすると2~3時間経ってしまう。それが年1回ならいいが、10回あれば30時間になるとし、
「その時間があれば参考書が1冊終わります。恋愛している場合ではないことを教えましょう」
とアドバイスした。さらに子どもに対して一番有効なのが、灘高の先輩の失敗談だと指摘。母親仲間から「○○先輩は遊んでばかりで2浪した」「彼女がいる△△先輩は、医学部をあきらめたらしい」という話を聞くたびに、全て子どもに伝えていたという。
たしかに少しでも勉強する時間を確保し合格に近づくためには、理に適った考え方ではある。しかし記事の一部がネットで公開されると、反論の声が多くあがった。未成年とはいえ、分別のつく高校生の恋愛を親が禁止するのはおかしい、というのだ。
「女子は彼氏できると上がる」という説も「恋愛もしない高校時代の人生に何の意味があるのか。恋愛もし、東大にも受かるでいいんじゃないの?」
「自己コントロールを覚えるという意味ではいいのかもしれないけど。ただ、高校生としての生活の楽しさなどを味わえないのは面白く無いと感じる」
記事では、3兄弟と同じく灘高から理IIIに行った和田氏が、「男前じゃなくても、医学部に受かったら彼女ができる」と語っている。しかし高校時代の恋愛はその時代にしかできないもの。ネットでは受験のために過剰にストイックになることを否定する人が多いようだ。
一方で、母親が禁止することは珍しいとしても、受験業界では恋愛すると受験に響くというのはある種の常識ではある。ネットにも「予備校のときの先生が男子は彼女できると成績落ちるが、女子は彼氏できると上がるとか言ってたの思い出した」という書き込みがあった。
また、母親の厳しい締め付けがあったにせよ、3兄弟全員が理IIIに行ったことに驚愕する声も少なくない。国内大学の最難関であり、ひたすら勉強だけすれば受かるというものではない。努力だけでなく、すば抜けた資質も必要だ。
人格形成に影響?「素人が真似して怪我しそうで心配」「息子3人とも東大に入れた親はゴロゴロいるが、3人とも灘→理IIIは本当にすごい。オリンピック3大会連続金メダルと3大会連続出場くらいの差がある」
ただ、結果的に受かったからよかったものの、思春期に恋愛を禁止されると人格形成に悪影響が出る可能性もある。そのため、「素人が真似しようとして怪我しそうで心配です」という声や、「うちの親こんな感じだった。受験は一応成功したけど人生で普通にコケたw」という経験談もあった。
もっとも、重要なのは子どもがどういう気持ちだったかだろう。ネットでは、「このお母さんより3人の息子さんに話を聞きたいわ」という書き込みも寄せられていた。
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