ディズニーキャラクターを“リスペクト”したカラフルなイラスト作品が話題だ。そしてそのイラスト、よく見るとディズニーキャラが全員、マッチョなゲイ男性なのだ。
■ディズニーに強い影響を受けたゲイアーチスト
米のバイラルメディア「BuzzFeed」などで特集されているディズニーキャラ“萌え”イラストの数々を手がけたのは、メキシコ人アーティストのアルフレド・ロアギだ。彼はディズニーの世界に登場するキャラクターを、魅力的で逞しいゲイ男性に変えたイラストを次々に制作しているのだ。
そもそも彼の人生を変えたのは10歳の頃に観たディズニー映画『リトル・マーメイド』だった。周囲に少し反抗しながら、地上の生活を夢見る人魚姫・アリエルに共感を覚えた彼は、このプリンセスと自分を同一視するようになったという。その後の生き方のモデルとなる少年時代のヒーローが、彼の場合はヒロインだったのだ。
「ゲイの人々はファンタジーを信じているので、ディズニー作品はとても訴えかけるものがあります。自分の中の幼い子どもを呼び覚まし“めでたしめでたし”で終わる夢を見させてくれる幸せな体験になるのです」(アルフレド・ロアギ)
根っからのディズニーアニメファンの彼だが、やはり当然のこととして(!?)、伝統的な“ボーイ・ミーツ・ガール”の物語には馴染めなかった。そこで自らディズニーキャラを“作り直す”ことをはじめ、これらのイラストを描いてきたのだ。半生を通してディズニーに強く影響されてきた彼にとって、ディズニーの“ファンアート”を創作するのはとても自然なことだという。「陳腐な言葉になってしまうけど、愛を信じているし、同性同士の愛も信じています」と彼は語る。
「ゲイのための新たなディズニー物語が作られたなら、どんなに素晴らしいことでしょうか。おそらく近い将来にはディズニー映画のようなゲイアニメが観られるでしょう。考えただけでワクワクします」と話す彼の作品の数々は、自身のサイトやインスタグラムなどで紹介されているので、ソノ気があってもなくても(!?)、気になった向きは要チェックだ。
■ドラァグクイーンたちのイラストも手がける
ディズニー映画のキャラを“リスペクト”したイラストを次々と手がけているアルフレド・ロアギだが、その一方で最近のもうひとつの活動のテーマが“ドラァグクイーン”たちのイラストを描くことだ。
アメリカで放送されている“オネエ系”コンテスト番組『ル・ポールのドラァグレース(RuPaul's Drag Race)』は幾多のスター級ドラァグクイーンを輩出し、カルト的人気を博しているテレビ番組だが、アルフレドも大のファンということで、番組に登場するドラァグクイーンたちのイラストを彼独特のタッチで描いており、こちらのほうにも注目が集まっている。
「ドラァグクイーンたちの大きなウィッグと幻想的なビジュアルをとても愛しているし、ドラァグクイーンはゲイカルチャーの一部として大切なものです。この番組はドラァグクイーンとゲイコミュニティにとても多くのものをもたらしてくれるんです」(アルフレド・ロアギ)
彼が特に好きなドラァグクイーンは番組司会のル・ポールをはじめ、マニラ・ルゾン、ビアンカ・デル・リオ、アラスカ・サンダーファックなどで、彼ら(!?)を描いたイラストが多いということだ。
地元メキシコとフランスを主な拠点として活動を行うアルフレドだが、ディズニー映画のほかにも、筋骨隆々とした逞しいゲイの姿を描くゲイの画家、トム・オブ・フィンランドや、カナダのイラストレーター、グレン・ハンソンの影響も色濃く受けているという。同時代LGBTIカルチャーの担い手としても期待されているアルフレド・ロアギに今後はさらに注目が集まるかもしれない。
(文/仲田しんじ)
【参考】
・BuzzFeed
http://www.buzzfeed.com/chrishernandez/these-queer-illustrations-were-inspired-by-disney-and-they-a#.uh5O7oBQ