東京都内のJR東日本の施設で不審火が相次いだ事件で、このうち同社の品川変電所の敷地に火を付けたとして、警視庁渋谷署捜査本部は15日、威力業務妨害容疑で、自称ミュージシャン野田伊佐也容疑者(42)=武蔵野市吉祥寺東町=を逮捕した。警視庁によると、「やったことはやった。だけど、業務を妨害したとは思っていない」と供述し、容疑を一部否認している。
都内では8月以降、JRの線路脇のケーブルや変電所などで計7件の不審火が相次いだ。同庁捜査1課は捜査本部を設置し、威力業務妨害容疑などで捜査していた。野田容疑者について、一連の不審火との関連や動機を詳しく調べる。
逮捕容疑は8月23日午後7時半ごろ、JR東日本の品川変電所(品川区広町)の高圧ケーブル分岐付近に火を放ち、同社の業務を妨害した疑い。
捜査関係者によると、変電所のフェンス付近で、熱で溶けた状態のペットボトルと針金、焦げたティッシュペーパーが見つかった。
現場付近では赤い自転車に乗り黄色いテンガロンハットをかぶった男が何かを投げ入れる様子が目撃されており、防犯カメラにも自転車で立ち去る様子が写っていた。
捜査本部によると、防犯カメラ映像の解析や目撃者の証言などから野田容疑者が浮上。同容疑者宅の捜索で、黄色いテンガロンハットと、赤い自転車が押収された。
7件の不審火のうち中野区の中央線や渋谷区の山手線線路脇では、相次いでケーブルカバーが燃やされ、電車が運行を見合わせる影響も出た。
渋谷区の現場付近の防犯カメラにも、自転車で走り去る男の姿が写っており、捜査本部は野田容疑者との関連を調べている。