安全保障関連法案をめぐる与野党の攻防が大詰めを迎えた16日夜、国会周辺には法案に反対する多数の市民が集まり、抗議の声を強めた。高校生や乳幼児を連れた母親など若い世代の姿も多く見られ、雨が降る中「強行採決絶対反対」と声を張り上げた。参加者数は主催者発表で3万人超、警察関係者によると約1万3000人。
正門前の歩道はデモ参加者で埋め尽くされ、交差点付近は身動きが取れない状態に。参加者は太鼓や鐘を打ち鳴らしてシュプレヒコールを繰り返し、午後6時半から予定されていた参院特別委員会の開会が野党議員らの抵抗で遅れていることが伝わると、「野党頑張れ」と喝采を上げた。
幼稚園児の長女(5)と長男(3)を連れた東京都板橋区の主婦(34)は初めてデモに参加。「若い世代の政治的無関心が、恐ろしい事態を招きつつあると感じる。この法案で戦争に巻き込まれなくなるという政府の説明は信用できない」と訴えた。横浜市港北区の会社員丸山由宇さん(27)は「大多数の国民が理解していないのに、11もの法案をまとめて通そうとする安倍政権は間違っている」と憤った。
埼玉県飯能市の中高一貫校「自由の森学園」からは、在校生や卒業生ら数十人が集まり、国会前の歩道で平和をテーマにした歌を繰り返し合唱した。同学園の高校3年田上風さん(18)は「怒りは直接ぶつけられなくても、歌なら(国会内に)届けられるのではないかと思った。私たちは戦争に行きたくないし、人を殺したくもないんです」と真剣な表情で語った。
茨城県取手市の団体職員池田輝男さん(70)は「法案が違憲であることはこれまでの国会審議で明らか。憲法の下、平和に暮らしてきた戦後70年の人生を崩される思いだ」と憤まんやるかたない様子だった。