9月3日に中国で行われた、「抗日戦争勝利70周年記念式典」。これは、習近平国家主席が「反日」目的で主催したもので、50を超える国家の首脳級に参加を呼びかけたのだが、あまりに政治色が濃すぎるということで、多くの国が参加要請を見送った経緯がある。
「結局、G7からの出席はなく、主要国ではロシアのプーチン大統領と、日米などの反対を押し切った韓国の朴槿恵大統領くらいでした」(在北京記者)
日本にも参加を要請したが、当然、安倍晋三首相は見送り。ところが、この式典に国連事務総長の潘基文氏の姿があったことが、波紋を呼んでいるのだ。
「潘氏が出席を表明した8月27日以降、日本政府は"国連は中立であるべき"と抗議しましたが、潘氏は"挑発だ""軍国主義による侵略の歴史を猛省すべき"と、逆ギレする始末。にもかかわらず、当日は式典のみならず中国の軍事パレードにも出席。自分の立場を忘れていると、批判の的なんです」(前同)中立を旨とする国連トップとは思えない行動は、軽挙のそしりを免れないだろう。
「現在、中国はフィリピンの南沙諸島を勝手に埋め立てて軍事施設を建築。軍事力による対外拡張を画策している中での政治イベントだっただけに、国連トップという肩書での出席は、世界の理解を得られない」(同)しかし、東アジア情勢に詳しい国際ジャーナリストは、この出席には潘氏の個人的な目論見があるという。
「韓国人として初めて国連事務総長に就いた潘氏の在任期間は来年末までで、以後は朴大統領の後任として"大統領就任"が、韓国政界では既定路線なんです。潘氏としては、現在の肩書を利用して最大限、中国の覚えをめでたくしておき、政権運営で強力な後押しを得たいんですよ」そこには、シビアな中韓関係がある。
「韓国にとって中国は最大の貿易相手国で、米櫃(こめびつ)を握られたも同然なうえ、代々、なら外交方針も"中国に倣え"。改めて、"臣下の礼"を取らなければ、国として立ち行かないんですよ」(前同)世界の要職に就きながら、"親分"の顔色しか窺えず、はなから属国としての生き残りを図る潘氏。その姿勢には呆れるばかりだ。