カメラマンに転ばされたシリア難民の男性、オサマ・アブドル・モフセン氏が、スペインのサッカーコーチ養成学校から仕事のオファーを受けていた。スペイン紙『エル・ムンド』やイギリスメディア『BBC』などが16日に報じてる。
先日、ハンガリーのセルビア国境付近で、警察から逃げていた子供を抱きかかえるシリア難民の男性を、ハンガリーの女性カメラマン、ペトラ・ラースローさんが足を引っ掛けて転ばした映像が、世界中で話題となった。
当人であるモフセン氏は、シリア1部リーグのアル・フトワを率いた経験のあるサッカー指揮官だったことが判明。するとスペインのサッカーコーチ養成学校『CENAFE』のディレクターであるミゲル・アンヘル・ガラン氏が、仕事のオファーを提示し、モフセン氏は快諾したとのこと。
モフセン氏は、ハンガリーでの事件後、息子である7歳のザイドくんとともに、無事ドイツ・ミュンヘンに到着。先にボートでヨーロッパ入りしていた18歳の息子、ムハンマドくんと合流していた。そして16日にミュンヘンを離れ、スペインの首都であるマドリードに到着している。
『エル・ムンド』紙によると、同氏は、「ミゲル氏からスペイン行きの電話受けたときはとても嬉しかった。彼らはミュンヘンまで来て私に『スペインへ来ないか』と言ってくれたんだ。スペインで息子の将来はとてもいいものになるだろう」とコメント。
さらに、「移動はとても疲れるもので、ストレスの多いものだった。とても困難だったし危険だった。息子と私はヨーロッパへの移動中に死んでいたかもしれない」と、難民生活を振り返ると、「ジャーナリストに蹴られたことは、とても恐ろしく、つらいものだった。とても驚き、その次に痛みがきた。息子が恐怖を感じ、パニックだったのは顔を見てわかった。ザイドは2時間も泣きっぱなしだったよ。私もとても怯えていた。警察には指紋をとられ、投獄すると脅されたんだ」と、ハンガリーでの出来事を振り返っている。
『CENAFE』の公式サイトによると、今後モフセン氏と家族は、マドリード郊外のヘタフェで新しい生活をスタートさせるという。ミゲル氏は、「最も重要なもの、住居、食事、服、そしてコーチとしての仕事を彼らに提供します」とコメントしている。