埼玉県熊谷市の民家3棟で計6人が殺害された事件で、このうち1人暮らしの白石和代さん(84)が遅くとも、遺体で発見された10時間前に殺害されていた可能性のあることが18日、県警への取材で分かった。発見当日の朝、普段は開いている門扉が閉まっているのを隣人が不審に思い、親族に告げたことで発覚した。14日夕に殺害された田崎稔さん(55)宅に、血で書かれたアルファベットのような文字が残っていたことも分かった。
一連の事件は、重体となっている日系ペルー人のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン容疑者(30)=別の住居侵入容疑で逮捕状=の関与が疑われている。県警は侵入先を次々と変えながら居合わせた住人を襲ったとみて、白石さんら4人を司法解剖し死亡時期の特定を進める。
県警によると、白石さんは15日夕、知人に目撃されていた。午前7時ごろ門扉を開けるのが日課だったが、16日は朝から閉まったままだった。不審に思った隣人が白石さんの親族に連絡し、一緒に入って血痕を見つけ110番。午後4時50分ごろ、ふたがされた浴槽の中から遺体が見つかった。死後ある程度の時間が経過していた。
約30分後には、近所の加藤美和子さん(41)宅でナカダ容疑者を警察官が発見。包丁2本を所持しており、室内の捜索で加藤さんと長女美咲さん(10)、次女春花さん(7)の遺体がクローゼットの中から見つかった。加藤さんは午前7時すぎ、美咲さんらは下校時間の午後3時ごろ目撃されていた。
田崎さん宅の血文字は、夫妻の遺体が見つかった部屋の壁に残っていた。2行程度あるが、書いた後に拭ったような状態で、判読は難しいという。
これら三つの現場で採取された犯人のものとみられる足跡が酷似しており、県警はナカダ容疑者が回復し次第、事情聴取する。