チリ沖でマグニチュード8.3の大地震が発生し、日本へも津波が到達したが、お隣・韓国でも地震に関する注目が高まっている。
韓国気象庁によると、今年に入ってマグニチュード2.0以上の地震が33回計測されたという。韓国における地震の年平均発生件数は年々増加傾向にあり、1980年代は16回にすぎなかったが、2000年代には44回、そして10~14年は58回となっている。単純に、最近になればなるほど、地震の発生件数が増えているわけだ。
一方で9月17日、恐ろしい数字が明らかになった。なんとソウルにある建物の75%が耐震設計を備えていないことが判明したのだ。ソウル市が国会に提出した資料によると、今年6月時点で、法律で耐震対策を義務付けられている建築物28万4,409棟のうち、実際に耐震設計が施されているのは25%の7万982棟にすぎないことがわかっている。
多くの人が日常的に利用する、学校や区役所などの公共施設の状況もひどい。ソウル市内にある学校の場合、耐震設計がされているのは2,971校中、わずか840校のみ。全体の28%しか耐震設計がなされていないため、4校に3校は大地震発生時に多くの被害が生じる可能性があるということになる。
朝鮮半島における最大の地震が起きたのは、1980年1月8日。朝鮮半島北西部の平安北道で発生したM5.3の地震だ。以降、03年3月に仁川に近い海域でM5.0、04年慶尚北道の海域でM5.2、そして14年4月に忠清南道の海域でM5.1の地震が発生している。日本に比べるとなんてことない規模と回数かもしれないが、すでに韓国は“地震安全地帯”ではないことが明らかとなって久しい。にもかかわらず、ソウル市のひどすぎる地震対策には、韓国ネット民たちもあきれてしまっているようだ。
「韓国は一度被害を味わってみなければ、行動しない。事前に対策を取るような話は、韓国では期待できない」「ソウルだから75%なんだよ。ほかの地域なら、90~95%じゃないか?」「手抜き工事のせいで、何もなくても倒壊しているのに……」と、自虐的なコメントが目立つ。
では、日本では1.8年に1度の割合で発生しているというM7.0クラスの地震が、韓国ソウルで発生したら、どのような被害が生じるのだろうか? 12年に韓国の消防防災庁が発表した地震シミュレーションによると、ソウルでM7.0の地震が発生した場合、67万人の死傷者が出るとの結果が出ている。ちなみにM6.5の地震でも、死傷者は10万人を超えるという。
耐震設計をはじめ、地震に対する安全対策が問われ続けている韓国。それでも、いまだに具体的な行動を何ひとつ起こそうとはしていない。韓国ネット民たちが指摘するように、やはり実際に経験しなければ、改善策は取られないようだ。