悲願成就、祖父の決意継承=支持率下落も覚悟―安倍首相 | ニコニコニュース

 集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法が成立し、安倍晋三首相は第1次政権以来の「悲願」を達成した。同法に対する反対は野党にとどまらず、国会を取り巻くデモ隊が激しい批判を繰り広げたが、首相は強行突破の道を選んだ。

 「支持率が高いまま辞めるために、首相をやっているわけではない。首相の椅子に座り続けることが目的ではない」。首相は国会審議が大詰めを迎えた9月、同法に懸ける決意を周辺にこう語った。

 集団的自衛権行使容認をめぐって首相は、第1次内閣発足時に有識者懇談会を設置し、検討に着手。2007年の退陣によって一度は諦めかけたが、12年に再び首相に復帰すると、行使容認に向けて取り組みを強めた。

 首相の執念の背景には、現在の日米安保体制の礎を築いた祖父・岸信介元首相の存在が大きい。岸氏は1960年、国会や首相官邸などがデモ隊に取り囲まれる中、自らの退陣と引き換えの形で安保条約改定に持ち込んだ。

 首相も、「残念ながら、まだ支持が広がっていないのは事実だ」(参院平和安全法制特別委員会)と認めながらも、安全保障法制整備の必要性を重ねて訴えてきた。日米同盟を長期的に継続するためには、自衛隊の役割拡大は不可避という認識が首相の心中にあり、首相周辺は「岸元首相の決意を引き継ぐとの思いは当然ある」と解説する。

 首相は7月、東京都内で行った講演で、日米安保条約改定を振り返り、「あの時、祖父は『50年もすれば必ず理解される』と言っていたが、だいたい25年か30年で安保条約支持は多数になった」と語っていた。しかし、安保法制に対する世論の逆風は強まっており、内閣支持率のさらなる下落も予想される。政府内からは「下落は織り込み済みで覚悟している」との声が漏れている。