参議院本会議で可決、成立した集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法について、経済界には「現在の日本を取り巻く国際情勢の中、国民の安全、平和を守るためにも必要」(榊原定征経団連会長)と理解を示す声が多い。

 安保関連法に対しては国民の反対意見も強かったが、経済同友会の小林喜光代表幹事は先の記者会見で、「どこかでけりをつけねばならない」と容認する考えを表明。その上で「(自衛隊の活動に)どうたがをはめていくかは、今後も議論できる」と指摘した。

 ただ、政府に対する経済界共通の思いは、国会の混乱を早期に収束し「全精力を経済対策に向けてほしい」(三村明夫日本商工会議所会頭)ということだ。

 安保法成立そのものがビジネスに与える影響は「ほとんどない」(小林栄三日本貿易会会長)とみられるものの、中国経済の先行き懸念で世界的な株安が続くなど、世界経済の動向は不安定さを増している。三村会頭も「日本経済は回復基調だが、何かあればマイナス(成長)になり得る」と警戒感を示している。