2015年9月19日,日本一ソフトウェアは,東京ゲームショウ2015のセガブースにて,2016年2月25日に発売するPS Vita用RPG「勇者死す。」のステージイベントを開催した。
このイベントでは,本作を手がけたゲームデザイナーである桝田省治氏の生前葬という体裁でトークが繰り広げられ,声優の五十嵐裕美さんや松井恵理子さんが演じる新キャラクターの紹介や,ボイス収録時のエピソードが披露された。そこで本稿では,イベントの概要をレポートしたい。
最初のテーマは,「勇者死す。」とはどういったゲームなのかという話だ。舛田氏は「面倒くさいゲームですかね」と述べたうえで,「ゲーム内で発生した問題の解決手段が1つではなく,また,何かを解決すると別の困ったことが持ち上がったり,同時に解決できない問題があったりします。そうやって,自分なりに折り合いや妥協を見つけていくゲーム」であると説明する。
また,「繰り返す5日間」というゲームの内容に関しては,1回や2回プレイしただけではクリアできないので,「今回はこうするから,次回は別のことをやってみよう」と,考えながらプレイすることを想定しているという。
続いて,新キャラクターとして,五十嵐さんが演じる「サラ」と,松井さんが演じる「メリーアン」が紹介された。
しかし,桝田氏によれば,2人のイメージはゲーム内の登場人物から見たそれとは異なるそうで,メリーアンは,皆から詐欺師だと思われているそうだ。
ボイスの収録についても,「サラは表向きは普通なので,非常に演技が難しい」と桝田氏は述べる。何か特徴を持つキャラであれば,それを強調すれば比較的無難に役をこなせるからだ。逆に,特徴がない普通のキャラは,創造性がある声優でないと任せられないので,今回は五十嵐さんを起用したとのこと。
一方のメリーアンは,「イラッとさせるような感じ」というオーダーがあったので,松井さんは当初,甲高い声で演じたそうだ。しかし,やりすぎ感が出てしまったので,リテイクがかかったという。
「『勇者死す。』の開発で苦労したエピソードは」という話題では,桝田氏が「そもそも,このゲームを企画したのは20年くらい前」と,実現まで非常に時間がかかったゲームであることを披露した。とはいえ,たとえ企画が20個あっても,その中できちんとゲームになるのはせいぜい1つとのことで,「こうして形になっただけでも,恵まれているほう」と桝田氏は述べている。
2007年に携帯電話向けのオリジナル版がリリースされてから,実に9年の歳月を経て復活した本作であるが,今風(いまふう)の要素として取り入れたのは,ビジュアル的な部分と音楽,ボイスの3点であるそうだ。つまり,核となるゲーム部分は,そのまま継承されていることになる。
最後に桝田氏は,「2016年2月には,香典代わりにぜひゲームを買ってほしい」という言葉を残し,天使(役のスタッフ)に連れられてステージを去り,イベントは幕を閉じた。
リンク:「勇者死す。」 公式Webサイト
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