東京ゲームショウ2015では,インディーズゲームコーナーが再び9〜11ホール,つまり別館に移動した。昨年は企業ブースが並ぶメインホールのど真ん中に位置していたこともあり,人の出入りも多かったが,今年はいささか寂しめなところがなくもなし。とはいえ,出展されているゲームは,大手デベロッパも顔負けのクオリティを誇る作品から,これぞインディーズと膝を打ちなくなる先鋭的な作品まで粒ぞろいだ。
そんな中でも,とくに際立ったゲームスタイル&表現で注目を集めていたのがThrow the warped code outの「Back in 1995」だった。
■1995年という大昔
「Back in 1995」というタイトルが示すのは,「1995年前後の,3D技術が浸透し始めた頃のゲーム」を目指していることだ。1995年ってどんな時代だっけ? という若人(およびもう思い出せない筆者のような老人)には,
・セガサターンの発売が1994年11月
だいたいこういうイメージで把握してほしいが,よく考えたらまだ生まれてないとか,小学校に入る前とかいう読者も少なくないかもしれない。
ゲームジャンルは,アクション性があるアドベンチャーゲームということになるだろう。「Alone in the Dark」あたりが感触として近い。
また,いうまでもなくカメラは固定で,このため,重要なアイテムがオブジェクトの背後に隠されていたり,カメラが切り替わった途端に敵が視界内に入って奇襲される(そして死ぬ)ことも珍しくない。むしろ,明らかに意図的にそう作ってあり,そしてこれがまた,懐かしいローポリゴンの世界とあいまって,実におっさんホイホイな空気を醸し出しているのだ。
アイテムとしては,近接武器と拳銃が存在し,拳銃は構えてからでないと射撃できない。実際に敵に向かって撃ったところ,画面から着弾位置を推測するのがなかなか難しく,拳銃を使いこなすのには慣れが必要だった。いや,昔はこういう式の拳銃,パスパス命中させてたはずなんですがね……人間,楽なものに慣れると,いろいろ退化しますな。
このように,「Back in 1995」は外見だけでなく,中身も1995年頃のゲームにこだわって作られているのだ。
■1995年当時の開発者に取材
「Back in 1995」の開発状況について,Throw the warped code outで本作を制作する一條貴彰氏(関連記事)に聞いたところ,現状で進捗は65%程度ということだった。プラットフォームはPCで,この冬にSteamで発売される予定になっている。
ちなみに「Back in 1995」の制作にあたっては,当時のゲームを振り返って作っているだけではなく,実際に当時3Dのゲームを作っていた開発陣にインタビューしたり,レビューしてもらうことによって,「本物の1995年らしさ」に肉薄しているという。
外見が1995年風だからといって,技術的にもその時代の技術が使われているわけではさすがになく,制作は「Unity」が使用されている。つまり,完全に現代的な技術で内部処理を行いつつ,特別なシェーダーを使うことで,レトロ感を作っているわけだ。
「Back in 1995」は,既に海外のインディーズゲーム紹介サイトで熱い注目を集めているが,東京ゲームショウでもしばしば海外メディアが取材に訪れていた(むしろ日本のインディーズゲームファンからは,「このゲームって海外の人が作っていたんだと思ってました」と言われることも珍しくなかったとのこと)。
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