生活苦、虐待、孤独の三重苦で日本より過酷? “高齢者にも優しくない”韓国の現状 | ニコニコニュース

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日刊サイゾー

 最近、テレビや週刊誌では「下流老人」「老後破産」「老後難民」などを扱う特集が後を絶たないが、日本同様に高齢化社会が進む韓国の状況はもっと厳しい。

 世界の高齢者たちの生活環境を比較調査している国際団体「ヘルプエイジ・インターナショナル」が9月9日に発表したところによると、韓国の総合点数は44点で、96カ国中60位(ちなみに1位はスイス90.1点、日本は8位で79.3点)だった。

 健康部門では42位で、60歳以上の残りの期待寿命は24年と高かったが、高齢者の貧困率は48.5%で、同調査の平均貧困率12.9%を大きく上回る82位だった。今年5月に経済開発機構(OECD)が発表した報告書でも、韓国の65歳以上の高齢者の相対的貧困率はOECD加盟国平均12.6%の3倍以上になる49.6%とはじき出されていたが、今回の調査報告であらためて韓国の高齢者たちが苦しい生活環境にあることが明らかになったといえるだろう。

 そもそも韓国では高齢化が急速に進み、かなり前から問題視されてきた。2000年に総人口のうち高齢者人口が占める比率は7%を超え、13年の高齢者比率は12.2%(統計庁)に。14年時点では18.5%になっており、30年には31.4%、50年には41.5%になるといわれている。

 そのため、高齢者にまつわる社会問題も多発している。

 代表的なのが、高齢者による犯罪の増加だ。法務部による高齢者犯罪現況資料によると、60歳以上の犯罪者は10年に15万5,171名だったが、14年は21万6,313名と39.4%も増加。人口に占める高齢者の比率が高くなったため、これは自然な状況ともいえるが、13年に強行犯罪だけで7万7,000件もあったことは問題視せずにはいられない。生活苦や社会的地位の低下による不満が、高齢者たちを強行犯罪に走らせていると見てもいいだろう。

 また、高齢者に対する虐待もある。中央老人保護専門機関によれば、身体的・精神的・性的に暴行したり、経済的な搾取や放置などの虐待行為に関する申告件数は、09年に2,675件だったが、13年には3,520件にまで増加している。加害者は息子45%、娘14%、配偶者12%、嫁7% と、80%近くが身内からの虐待であるというショッキングな結果が出ている。

 そんな韓国でとりわけ急速に増えているのが、一人暮らし世帯の高齢者だ。00年に54万人だった60歳以上の一人暮らしは、13年時点で125万人に増えており、35年には343万人に達する見通しだとされている。それに伴い、当然、孤独死する高齢者たちも増えている。とある市民団体の調査によると、昨年1年間で600~700人が孤独死したといわれているのだ。

 それどころか、高齢者の自殺率も高まるばかり。もともと韓国はOECD加盟国の中でも10 万人当たりの自殺率が最も高いことで知られているが、その件数はここ4年で2倍に増え、80.3人に達した。前述した事例でもわかる通り、生活苦や虐待、孤独さを理由に命を絶ってしまう高齢者たちが後を絶たないのだ。

 ちなみに、特に旧正月や秋夕(中秋節)の時期になると、一人暮らしの高齢者の自殺が増えるという。テレビや新聞で家族の帰省ラッシュが報じられ、近所でも家族団らんの光景が多く見られるこの頃、一人暮らしの高齢者たちはいつも以上に孤独を痛感し、生きる気力を失い、自らの命を絶ってしまうという。韓国では9月26日から秋夕の時期を迎え、大型連休に突入するだけに心配だ。