文・取材・撮影:ライター 大瀬子ヤエ
●年末開催のファイナルズに向けて64人のトッププレイヤーが幕張に集結
2015年9月17日(木)から9月20日(日)まで、千葉県・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2015(17日、18日はビジネスデー)。同イベントの最終日となる20日に、対戦格闘ゲームシーンを応援するゲーム周辺機器メーカーであるマッドキャッツブースにて、“『ウルトラストリートファイターIV』 日本大会”が開催された。
本イベントは、カプコンU.S.A.が主催する『ウルトラストリートファイターIV』大会“CAPCOM PRO Tour”の“プレミア大会”に認定された大会。優勝者には2015年12月にアメリカで開催される“カプコンカップ ファイナルズ”への出場権が授与される。ルールは世界統一のシングルトーナメント・ダブルイリミネーション方式で闘われる。このダブルイリミネーションという方式は、最近は日本でも少しずつ浸透しつつあるものだが、簡単に言うとウィナーズトーナメントで敗退しても、ルーザーズトーナメント(敗者復活トーナメント)で継続して戦うことができ、最終的にはウィナーズ側とルーザーズ側で残った者どうしの対決で優勝者を決めるというものだ。
この日集まったのは64人の『ウルIV』プレイヤー。国内や海外在住のプロ選手、EVO(世界最大の格闘ゲーム大会)覇者、国内で活躍する著名プレイヤーが一同に集結。予選はA、B、C、Dの4ブロックに分かれて8セット同時進行で行われた。随所で国内の大会ではまず見られない著名なプレイヤーどうしの対戦も見られて、さすがは世界格式の大会といったところ。『ストリートファイターIV』シリーズが創りあげたカルチャーの集大成を感じさせた。
●この大会ならではの顔ぶれがそろったベスト8
過酷な予選を経て各ブロックでウィナーズ、ルーザーズのトップ=ベスト8に残ったのは以下の選手だ。
【ウィナーズ】
【ルーザーズ】
壇上で3試合先勝のルールで競われる決勝トーナメント。激闘を勝ち抜いてきた8人だけあって、すべての試合がハイレベル。読み合いと技が光る名勝負が続出して観客もエキサイト。大いに盛り上がった
ウィナーズの頂点を決める“ウィナーズファイナル”では、2012年のEVO、同年のストリートファイター25周年記念世界大会の覇者として知られる韓国の強豪Infiltration選手(ディカープリ)と、関東の『ウルIV』コミュニティで活躍するセス使い、だしお選手(セス)との闘い。今年も参戦した世界各国の大会で好成績を残し、ただいま絶好調のInfiltration選手。対するだしお選手は関東では知られた強豪ながら、全国規模の公式大会での優勝歴がない選手。もちろん海外大会の参戦歴は皆無でカプコンカップのツアーポイントもおのずと0ポイント。直前の闘いでプロゲーマーのGamerBee選手(アドン)を撃破してこの勝負に挑む。
試合はだしお選手の読みが随所で光る展開に。相手の仕掛けたアクションに対してきっちりと反撃で抑える動きが目立った。同時に、大舞台での緊張がいっさいないかのような、大胆なスクリューパイルドライバーや昇龍拳を見せてこれらが見事に決まる。だしお選手が立て続けに2勝した後、Infiltration選手は従来のメインキャラクターだった豪鬼にスイッチ。それでもだしお選手の流れは止まらず、まさかの3連勝を飾った。
いっぽう、ルーザーズ側による“ルーザーズファイナル”。
ルーザーズの対決でもう後がない両者。最初の試合でInfiltration選手はなんと剛拳を選択し、会場は騒然となる。剛拳は、以前ふたりが対戦したときに、ボンちゃん選手のサガットに対抗するために用いたキャラクターだ。因縁の対決がここでも観られることに。
そしてついに最後の闘い、“グランドファイナル”へ。
セスとサガットという組み合わせ、そしてこれまでになくタフな勝負をくぐり抜けてきたふたりだけあって序盤から試合はノーリミットの打撃戦の様相に。こういった大規模大会の決勝では例がないほど展開の早いインファイトが展開し、両者ともスキがあらば、という感じで強力なセットプレイが猛威を振るう。やがて、2-2の勝敗、さらに両者マッチポイントで迎えたラウンドで、ボンちゃん選手が勝利。グランドファイナルはまさかのリセットを迎えることになった!
両者が対等の立場で挑むリセット後の対戦。もはやここまで来ると、人読みや知識を越えた精神力の勝負だ。しかし、だしお選手は、恐れるものは何もないという勢いで最後まで自分のスタイルを貫き通して見事な大金星を獲得。世界の強豪が並み居る大会で優勝を果たした。
優勝後のコメントでは、「この優勝のためにいままで格ゲーをやってきました(笑)」と、余裕の冗談(?)で笑わせながらも、この優勝で出場権を得た2015年12月開催の“カプコンカップ ファイナルズ”への意気込みについては飛行機嫌いにもかかわらず「死ぬ気で行きます!」と頼もしいコメントが飛び出した。世界の大舞台でも、この大会で披露したブレイブハートの闘いをぜひ見せてほしい!
東京ゲームショウではすっかり名物にもなったマッドキャッツブースの大会イベント。表彰式の後、『ウルトラストリートファイターIV』の小野義徳エグゼクティブプロデューサーからは、「『ストリートファイターIV』から7年。われわれも大会が開催される限りはサポートをしていきます。これから始まる『ストリートファイターV』と同様に、『IV』シリーズも愛され続ければと思います。今日は素晴らしい大会をありがとうございました」と、出場したプレイヤーと観戦者に感謝のコメントが贈られた。