Wargaming.net社CEO Victor Kislyi氏(ビクター・キスリー/中央)らキーマンにインタビュー
ガチミリと萌えミリが悪魔合体したWGJブースで史上2番目の来場者数を記録した東京ゲームショウ2015。大型展示がひしめき合う会場において、他とは異質な迫力を醸し出していたのがウォーゲーミングジャパンのブースだ。
戦車!戦艦!大爆発!でだいたい説明できるPVをスクリーンいっぱいに見せつけるザ・欧米テイストに面食らったものの、よくよく見ればコンパニオンのお姉さんはイオナや大洗女子学園を彷彿とさせるコスチュームに身を包んでおり、ブース前で手渡されたのはガルパン&アルペジオがダブル表紙のマンガ小冊子。
おまけに特別試遊スペースの立て看板は、西住みほとイオナが互いの衣装を交換したコラボ仕様。男の子の夢を硬軟取り揃えたゴキゲンな空間だった。
アニメ『ガールズ&パンツァー』『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』とのダブルコラボに加え、今年は主力タイトル『World of Tanks』のPlaySation 4参入というニュースを引っ提げて幕張メッセに乗りこんできたウォーゲーミングジャパン
HR/HMサウンドが鳴り響き、サブウーファーの重低音が全身を包み込むマッスルなブースだが、配布物などは意外にも俺たち好み
アルペジオコラボも盛りだくさん!そんなウォーゲーミングジャパンのブースにて、Wargaming.net社CEOのVictor Kislyi氏らキーマンの方々に、日本での手応え、アニメコラボの未来、全世界会員数1億超の巨大タイトルに成長した『World of Tanks』そして正式サービスが始まった『World of Warships』の今後などについて伺った。
―― まずはこれまでの日本での手応えをお聞かせください。
Victor Kislyi氏。Wargaming.net社CEO
Victor Kislyi(CEO)日本のコミュニティーはとても特別だと考えています。
日本ではゲーミングPCを持っていない方が多いかと思いますが、日本のプレイヤーはゲームが楽しければそのためにPCを買い換えたり、我々のゲームを長期間遊んでくださっています。
そんな日本のプレイヤーに応えるため、我々はさまざまなアップデートを重ねることでお返しをしたいと思いました。それはたとえば『World of Tanks』への日本技術ツリーの実装、9.10アップデートでの日本重戦車ラインの追加、そして『World of Warships』における日本艦船などです。これらはゲーム内においてとても重要なものです。
正直、『World of Warships』を日本という国抜きで作れるとは思えません。戦艦〈大和〉が出ない海戦ゲームなんて何が楽しいのか、ということですね。
日本含めたアジア全体という括りでも、新しいコンテンツを準備しており、そのなかの1つが今回発表させていただいた『World of Tanks』のPlaySation 4参入です。これは日本の方々に『World of Tanks』を知ってもらえる絶好の機会だと考えています。
PS4版『World of Tanks』の画面。PlayStation NetworkアカウントがあればPC版同様、基本無料でプレイできるという
2013年からは日本にオフィスを設け、国内スタッフでサービスを提供・対応できるようにしました。そういった意味で、我々は日本のコミュニティーの近くで対応できたと思います。
そして、9月17日から正式サービスが始まった『World of Warships』では『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』とのコラボレーションを進めており、MODには艦船のテクスチャーや港のグラフィック、音声などが変更できる要素を盛り込んでいます。
新情報発表ステージで流れた『World of Warships』アルペジオMODの紹介映像
港のグラフィックも、劇中で登場した横須賀港に変更されている
(次ページでは、「朗報! ガルパンMOD世界展開決定。ガルパン劇場版にもミリタリー監修でサポート!」)
アジア限定配布だったガルパンMODがついに世界中で楽しめる!
朗報! ガルパンMOD世界展開決定―― 日本のプレイヤー数、そしてプレミアムアカウント率を教えてください。2013年のインタビューでは、(当時)世界7000万プレイヤーのうち約25~30%がプレミアムアカウントと仰っていましたが。
Max Chuvalov氏。World of Tanks Marketing Product Manager
Max Chuvalov(WoT Marketing Product Manager) 日本のプレイヤーは約100万以上で、オン率は非常に高いですね。
30~40%がプレミアムアカウントでプレイされています。この割合は世界全体と比べても大差ありません。PlayStation 4参入でこの数字が大幅に増えることを期待しています。
―― Xbox、モバイルそして今回のPlayStationと、PC以外のプラットフォームへの進出が著しいですが、これはPC版のプレイヤーが減少していると考えてよいのでしょうか? それとも単純にプレイヤー層拡大を狙ってのものですか?
Kislyi 『World of Tanks』は、キーコンセプトとしてまずPC版をリリースしました。続いてXbox版、モバイル版を発表しましたが、それぞれ多くの予算と時間を必要とします。そのため、これらはすべて数年前から企画され、独立したプロジェクトとして同時進行していたのです。
PlayStation 4版のプロジェクトは、日本の方々はXboxよりもPlayStationのほうに馴染みがあるだろうという理由で動き出しました。これは約1年ほど前から立ち上がっており、Xbox ONE版の開発が終わりに近づいたあたりから本格始動しました。
現在『World of Tanks』はPC/Android/iOS/Xbox 360/Xbox ONEで展開されている
『ガールズ&パンツァー 劇場版』にもミリタリー監修でサポート―― 日本のコラボではアニメ作品が2作続いて登場するなど、世界と比べてやや特殊なように思いますが、これらのコラボを世界展開する予定はありますか?
Kislyi 日本のアニメ・マンガ文化はすでに世界中に浸透しており、グローバルな文化の1つと捉えられているかと思います。ですからこれらのコラボは世界でも通用すると思いますし、また楽しんでもらえるでしょう。
―― ということは今後、ガルパンやアルペジオのMODが世界展開すると考えてよろしいのでしょうか?(現在、ガルパンMODはアジア限定配布)
Chuvalov じつは最近、世界展開に切り替える計画が出ており、バンダイビジュアルさんとも合意がとれましたので、今後『ガールズ&パンツァー』のコラボは日本やアジアだけでなくグローバルに提供できるようになると思います。現在開発中のMODも各地域に提供されます。
『ガールズ&パンツァー』に関しては劇場版においても資料提供などのサポートを行なっておりますので、世界中の方々に楽しんでいただければ。
新情報発表ステージで流れたガルパンMODの最新PVは必見の出来。決勝戦でのマウスとの戦いを『World of Tanks』上で再現した労作
―― 劇場版へのサポートですか!? 具体的にはどのようなことを?
Chuvalov 弊社のスタッフにニコラス・ノーランというヒストリアン(ゲームの中身に関しての調査を担当する役職)がおります。彼はバンダイビジュアルと連絡を取り合い、様々な資料の提供や戦車のディテール、操作方法などを監修しています。
彼は“チーフテン”というニックネームを持っており、World of Tanksファンの間で有名な存在です。ちなみに彼も『ガールズ&パンツァー』が大好きです(笑)。
『ガールズ&パンツァー 劇場版』では一層のディテールアップが期待できる!? (C)GIRLS und PANZER Film Projekt
―― 『World of Warplanes』の現況を教えてください。日本のプレイヤーがアジアサーバーで遊べる日はいつ来るのでしょうか?
Kislyi 『World of Warplanes』は我々のチャレンジの1つであり、『World of Tanks』のようには成功していないのが現状です。そこで、いったい何が原因なのか調査中です。
私の見解としては、“一般的なプレイヤーにとって、3D空間を飛びまわることは非常に難しい”ということ。
戦車は、わかりやすく言えばクルマのようなものですから、多くの方々が戦車の動き方を理解できます。砲塔が動くので自由に狙いを付けられますし、何よりそれほど速く動きません。対して飛行機は、戦車とまったく逆です。まず止まることができません。非常に動きが速いですし、自分の進行方向にしか撃てません。
ですのでアジアでは、すでに多くの方々に楽しんでいただいている『World of Tanks』の完成度をより高めることをメインの目標として動いています。
―― 最後に、日本のミリタリーファンに向けてメッセージを。
Kislyi 私は『World of Warships』をよくプレイしていますが、経験値を貯めて手に入れたい艦が2隻あります。1隻目は戦艦〈大和〉。もう1隻は駆逐艦〈島風〉です。私は日本の艦船が大好きですので、皆様にも楽しんでいただけたらと思います!
また、2015年内には『World of Tanks Blitz』に日本技術ツリーが追加されます。モバイル版をプレイされている方々はこちらもお楽しみください。
さらに11月、東京・秋葉原にて「パシフィック・ランブル」と銘打った日本初の国際大会が行なわれます。2チームが北米から、もう2チームはアジアから、そしてワイルドカードとして日本から1チーム参加しますので、ぜひ日本チームに活躍してほしいですね!
■関連サイト
World of Tanks
World of Warships
wargaming.net
ガールズ&パンツァー
蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-