隣国中国では何らかの物質と物質が反応したと思しき爆発事故が頻発。片や日本でも、ゴミ屋敷から不審火が出たり……。思いがけないときに思いがけないことが起こるのが人生。身近なモノを“混ぜる”ことで発火・爆発する“まさか”の事例を、化学界の専門家の方々に聞いてみた。
2012年、東京の地下鉄で二十代の女性乗客の携えたコーヒーのアルミ缶が破裂する事故があった。日本分析化学専門学校の解説によると、「乗客が缶の中に詰め替えて携えていた業務用洗剤の水酸化ナトリウムがアルミと反応して水素ガスが発生し、その圧力でアルミ缶が破裂したというものです。亜鉛、アルミニウム、スズ、鉄などは、酸、塩基のいずれとも反応し、水素が発生するのです」
理屈は難解だが、酸やアルカリと名のついた薬品や洗剤などをアルミなどの金属の缶に入れるのは避けたほうがよさそうだ。
さらに、「身の回りにあるものが想像もつかない危険物に変わることがある」と『あぶない科学実験』の著者、サイエンス・ライターの川口友万氏は指摘する。
「片栗粉や小麦粉といった、どこの家の台所にもある粉モノが、ある条件の下では爆発する可能性があるということは覚えておくとよいでしょう。例えば、棚の上の小麦粉を取ろうとして手を滑らせて落としてしまい、中身をまき散らしてしまったときなどに、そばに火の気があると空気中に舞い上がった小麦粉に引火して、いっきに爆発することがあるんです。いわゆる粉じん爆発です」
揚げ物をするときに、勢いよく小麦粉をまぶしたりすると危険だ。
【サイエンス・ライター 川口友万氏】
ー 日常に潜む[混ぜたらキケン]図鑑 ー