土を掘り返すとニュルニュルと姿を見せるミミズ。可愛らしいとは表現しがたいが、田畑を良質な土壌にするうえで重要な役割を果たしていることはよく知られている。中国ではこのミミズたちを電気ショックで大量捕獲して“乾燥ミミズ”として売り捌く業者がおり、現地の作物収穫量が減少する事態が起きている。中国メディア・南海網が17日報じた。
記事は、海南省文昌市で2014年に電気ショックによるミミズの大量捕獲の問題が取り沙汰され、当局の取り締まりによって下火になったことを紹介。それが最近になって同市内で再発するようになったとし、「雨が降ったあとは村じゅうの家が金儲けのために電気ショックでミミズを捕獲する」、「この2年、自宅の土地で大量のミミズを捕まえて売ってきたが、土が固くなって作物の収穫が減った気がする」と現地住民が語っていることを伝えた。
また、同市にある村を訪れたところ、村の入口に住民が集めたとみられるミミズが入ったポリタンクが4-5個置かれていた。業者が取りに来るのを待っていたのだ。そして住民が毎日同様の「取引」を行っており、多い日には1日250キログラムものミミズを引き渡すこと、1キログラム当たり4-6元(75-113円)で売れること、土壌破壊に対する認識はあるものの「よそがみんなやって(金儲けしてい)るんだから、自分もやらない手はない」と住民が考えていることを紹介した。
さらに、村の中には捕まえたミミズを乾燥ミミズにする「加工場」があることについても言及。引き取られたミミズはここでさばかれて乾燥され、外地の業者に1キログラムあたり40元(約750円)で売り渡されると伝えた。その後、記者が現地当局に連絡すると直ちに関係者が駆けつけ、加工場の取り締まりが行われたとした。
記事は、土壌に含まれる水分を導体として電気を流すことで大量のミミズを捕獲する行為はほかの微生物をも殺すことに繋がり、土壌の生物多様性が大きく損なわれることになるとし、一度破壊された生態系は短時間では回復できないと説明している。
「目見えず」が転じてその名がついたという説があるミミズ。しかし、先のことを見通す目を持っていないのは、実は人間なのかもしれない。(編集担当:今関忠馬)(写真は南海網の17日付報道の画面キャプチャ)