ソニーのフルサイズミラーレス一眼のαシリーズからお値段も機能も最高峰機種である「Sony α7R II」が発売されてから約2カ月弱。あまりの値段の高さに手が出ないけどものすごく気になる…というユーザーも多いのではないでしょうか。米GizmodoのMichael Hession記者がレビューしてくれました。
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どんなに高価でも、1台で全てを賄えるカメラというものは今まで存在していませんでした。この最も高価なミラーレスフルサイズ一眼レフカメラ「Sony α7R II」1台で、最高画質の写真と動画、(ほぼ)全てを可能にします。
Sony α7R IIは、3,300ドル(日本では定価43万8880円+消費税)の、フルサイズミラーレス一眼カメラ。フルサイズ一眼レフと比べると、非常にコンパクトなボディ、42メガピクセルのフルサイズセンサーに、高画質な4K動画が撮影できる代物です。
静止画も動画もここまで完璧にこなすカメラは他にありません。
α7R IIは、一見妥協の余地がないように思います。PanasonicのGH4のような4K動画も撮影出来て、フルサイズのセンサーを搭載し、低照度環境でもパフォーマンスを発揮、どのレンズと組み合わせても使える。高度な手ぶれ補正も搭載。(ミラーレスカメラとしての)ファストハイブリッドAF、(アダプターを介せば)キヤノンのレンズも使えて、防塵防滴(に配慮した仕様)で軽量でコンパクトなボディ、設定もわかりやすく使いやすいです。
バッテリー寿命がゴミのように残念です。
ソニーはこのバッテリーを5年間アップデートしていないのでしょうか?α7R IIを買うとバッテリーが2個ついているのはよいのですが、これで許されるとでも思っているのでしょうか。ウェディングフォトフラファーとか、数時間おきにバッテリーを換える必要があるだろうから、きっと10個はスペアが必要だろうな。
画質は最高、42メガピクセルのセンサーで捉える解像感は実にクール。でも正直なところ、(すでに最高な)36メガピクセルと比べても、モニター上での違いはあまりわからないかもしれません。この解像度を求めているのはごく一部の写真家しかいないかもしれませんね。そして低照度環境でのパフォーマンスはやはり素晴らしいです。この世にあるフルサイズ一眼レフと全く遜色ない、でも特別秀でているというわけではない、そんな感じでしょうか。
α7R IIのオートフォーカスは、「399点像面位相差AFセンサー」のおかげで、ミラーレス一眼カメラのなかでも最高レベル。でも低照度環境、動く被写体においては、ハイエンドの一眼レフカメラとはまだ戦えない印象です。
また個人的に嬉しいのは、Metabonesのレンズアダプターを使えば、キヤノンのレンズがかなり良い感じになることです。以下、テスト動画。
4K動画を撮影するときに生じる熱問題があり、この問題はすでに各所で報告されています。我々のテストでは、冷房が効いた部屋で、ストレートに45分撮影した時にオーバーヒートしました。この問題は、大事な動画撮影をα7R IIで行いたいと思っている人の購入を踏みとどまらせるに値するでしょう。
バッテリーは、ノンストップで4K動画を1時間撮影すると死にます。静止画撮影時は、ここまで問題になりませんが、丸一日写真撮影をする予定なら予備バッテリーは必要ですね。
3,300ドル(日本では定価43万8880円+消費税)はやっぱり高すぎ。
最もポピュラーなハイエンドのフルサイズデジタル一眼レフカメラ、例えばNikon D810やCanon 5D Mark IIIは3,000ドル前後(約36万円)です。
動画撮影にそこまでこだわらない人なら、素晴らしい画質を手に入れることができるし、バッテリー寿命も気になりません…が高いですよね。
コンパクトなボディで本気で動画を撮影したいなら、ゴミのようなバッテリー寿命と4K動画撮影時の熱問題が許せるなら、手に入れる理由があるかもしれません。でもコンパクトなボディで4K動画が撮影できる競合製品は1400ドルのGH4があることもお忘れなく。α7R IIは低照度環境での撮影ではGH4より優れていますが、GH4は数時間持ちますし熱問題もありません。
総じてα7R IIは、写真の世界を一段階引き上げてくれる技術的観点から見てもとても素晴らしいし、とにかく使っていて非常に楽しいカメラです。ソニーは毎年新しいモデルをリリースしていて、Rシリーズもその流れに乗りました。(さらにα7S IIも出ましたね)バッテリー寿命と熱問題だけが解決さえすればいいのにな、そんな印象でした。
Michael Hession - Gizmodo US[原文]
(mayumine)