去る8月12日、韓国・ソウル西大門(ソデムン)刑務所歴史館を訪れ、歴史問題について謝罪した鳩山由紀夫元首相。日本の一部からは“土下座パフォーマンス”と激しく非難される一方、韓国各界からは政治家として高い称賛を受けた。
あの謝罪から1カ月。鳩山元首相は、韓国・東亜日報の取材に答え、その心中を語った。インタビューの質問は多岐にわたったのだが、いくつか抜粋したい。
まず、日本の国益を損なったという批判についてどう考えるかという記者の問いに対しては、「そういう考えしかできない人たちがかわいそう」とし、次のような持論を展開した。
「本当に勇気があれば、過去の誤った行動について率直に謝罪するのが当然だ。(中略)相手が許し、もう謝罪しなくてよいと言うまで謝罪の気持ちを持たなければならない。私は、日韓友好こそが国益だと思う。韓国の方たちに、日本にも鳩山のような人がいるということを知ってもらえれば、長期的な意味で日本の国益に合致すると考えている。私は、国賊という言葉にまったく傷つかない」
鳩山元首相はまた、「日本が右傾化していると感じるが」という記者の質問に対して、「日本は戦後、経済一辺倒で成長してきたが、ここ20年ほどはその成長が止まっている」と前置きした上で、「周辺国が発展していくことに時に嫉妬し、いわゆる“強い国”に見せたいという政治的欲求が現れている」と答えた。
インタビューは、安倍晋三首相の外交方針や安保法制への懸念、鳩山元首相の生い立ちや政治家を志したきっかけなどに及んだ。同紙の記者は、鳩山元首相が別れ際に見せた紳士的な振る舞いを詳細に描写し「人間・鳩山の魅力を見た」と記事を締めくくっている。
このインタビューにも見られるように、鳩山元首相は韓国各界からひっぱりだこだ。11月には、韓国の東大ともいうべきソウル大学で開催される、日韓国交正常化50周年および終戦70周年を記念した公開講演に登壇する予定となっている。ちなみに、日本の元首相がソウル大学で講演するのは史上初である。加えて、そのファッションセンスについて言及されるなど、パーソナリティーにも注目が集まり始めている。
(取材・文=河鐘基)