コスモスの花びらに近い「ピンク」は、女の子らしさや甘さを連想させる色だ。
基本的に女性はピンクが大好き。しかしその面積があまりに広いと甘くなりすぎて、かえって敬遠される。日頃から全身ピンクで固めているのは林家ペー&パー子くらいで、ほとんどの人は差し色として使っている。
これは食の分野でも同様だ。ピンク色の食べ物は、桜もち、アイス、チョコ、ひなあられなど比較的小ぶりなものが多い。もしお皿の上がピンク色にあふれていたら――。普通の人は「これ...食べられるの!?」と目を白黒させるに違いない。
「華貴婦人のピンク華麗(カレー)」は、そんな食品界の常識にチャレンジしたレトルトカレーだ。
ビジュアルに惑わされて仕方ないが...気になるお味は?見るからに風変わりなカレーを商品化したのは、鳥取市のブリリアントアソシエイツ。以前Jタウンネットで取り上げた、ピンクの醤油と同じ飲食会社だ(参照:醤油なのに...ピンク!? 鳥取が生んだ珍商品「ピンク醤油華貴婦人」が斬新すぎる)。
パッケージの表面に描かれている女性キャラは、優梨華・舞梨華・砂梨華・莉梨華の4姉妹。商品のコンセプトにマッチした少女マンガ風。
ピンク色を見て合成着色料をイメージする人がいるかもしれない。その正体は貧血防止、抗酸化作用、便秘解消などに効果がある赤ビーツという野菜。害がないどころか、むしろ健康にいい。
レトルトを5分ほど温めて、とろっとしたピンクの汁を白いご飯の上にかければ出来上がり。
食べ物の色は赤・白・黒・緑・黄の5つが基本。一般に暖色系は人の食欲を増進させ、反対に青や紫の寒色系は食欲を減退させる。
ピンクが美味しそうに見えるカラーかどうかはさておき、第一印象は「これがカレーか!?」。見た目はイチゴのスムージーっぽく、いかにも甘そう。
いつも食べている大手メーカーのレトルトカレーよりも粘り気があり、撮影中にスプーンから汁がこぼれることはあまりなかった。
具材はジャガイモや鶏肉を使用しているそうだが、ピンクの汁に染まっているため、外見からは判別できない。
軽く勇気を出して口に運ぶ。
ほんのりイチゴ味......ということは全くなくて、筆者の舌は「これはスパイスの効いたカレーの味です」という情報を脳に伝達する。一方で目は「これはピンクの物体――甘そうな物体です」という信号を送る。
筆者の内面で起きているギャップが面白く、あっという間に食べ終わってしまった。
普段は牛丼チェーンやコンビニの決まったメニューばかり食べている筆者にとって、大いに五感を刺激させられた。
最初はピリッとした感覚があったもののすぐに慣れる。10段階で辛さを評価したら「2」または「3」くらい。
年齢や性別を問わない味に仕上がった華貴婦人のピンク華麗。鳥取市内では古民家を改装したカフェ「大榎庵」で提供している。
東京ではアンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」で980円(税込み)で販売している。