海外旅行で日本語ができる中国人に助けられた話 | ニコニコニュース

マイナビスチューデント

外務省によると、「海外旅行で最も被害に遭いやすいのは日本人」なんだそうです。これは「海外邦人援護統計」という、海外でトラブルに遭った日本人のデータをまとめたもので統計が出ているそうです。日本人はお金持ちだと思われたり、だましやすいと思われているのかもしれませんね。今回は、そんな海外旅行でトラブルに遭遇した日本人が、現地の人に助けられた話です。

今から10年以上も前、社会人になって最初の年のことでした。冬のボーナスで大学時代の友人と「人生初」の海外旅行を計画。1月の連休に2泊3日のプランを立て、行き先は日本から近く、おいしいものが多いと聞いていた台湾にしました。冬でも日本より暖かいというのも、旅先に決めた要因です。

そして旅行当日。台湾の松山空港到着時は雨でしたが、すぐに晴れ間が出て、良い天気に。空港からタクシーでホテルに向かいましたが、タクシーの運転手さんもホテルのスタッフも日本語ができる方だったのも助かりました。ホテルも3つ星を選んだだけあって、ケチのつけようがありません。

1日目は、ホテルチェックイン後にあらかじめ目星を付けておいた飲食店を回ることにしました。軽食のお店をいくつか回り、夜は有名な台湾料理のお店へ。どのお店も大変においしく、大満足。ここまでは素晴らしいの一言でした。

翌日はショッピングをメーンに台北市内を回ることに。いくつかショッピングスポットを回り、街を歩いていると、かわいらしい小ぶりの茶器が並ぶお店を発見しました。母へのお土産にいいと思って店に入り、商品を見ていると店の奥からおばさんがニコニコしながら出てきました。そのおばさんは日本語ができるようだったので、あれこれ会話しながら緑色の茶器を選びました。

その茶器の価格は3,100台湾元。なので4,000台湾元を出しましたが、おばさんはお釣りを渡そうとしません。私は日本語で「お釣りを下さい」と言いましたが、どうやら通じていないようなのです。さっきまで日本語で会話していたのに変だなと思いながらも、「お釣り」を英語や中国語で何と言うのか分からなかったので、身ぶり手ぶりで伝えようとしました。するとおばさんがいきなりすごいけんまくで怒りだし、私たちを店から追い出してしまいました。

茶器はなんとか持って出ることができたので、「悲しいけど仕方ないか……」と思っていたところ、突然女の人が「どうしました?」と日本語で話し掛けてきました。その人がどんな人か分かりませんでしたが、起こったことを伝えると、その女性は何か中国語で怒鳴りながらお店の中に入っていきました。数分後、レシートとお釣りを持った女性が笑顔で出てきました。

私は、海外でここまで親切にしてくれる人がいるとは思っていなかったので、まさかの展開にポカーンとなってしまいました。その後、お礼を兼ねて喫茶店に行くことになり、話を聞くと、その女性は旅行のコーディネーターの仕事をしている台湾の人で、省庁にも顔が利く、ちょっぴりえらい人でした。

私たちの話を聞いた後、「私の友人にとんでもないことをしてくれたな!」といったニュアンスのことを怒鳴りながら詰め寄ったと語りました。お店のおばさんは、私たちがブランド物の紙袋を持っていたのでお金持ちだと思い、お釣りくらいいいだろうと思ったそうです。

そこで泣き入っても日本円で数千円くらいですから、そこまで気にすることではなかったかもしれません。ただ、私の初海外旅行はネガティブなイメージのまま終わったでしょう。もしその女性と出会わなかったら、その後は海外旅行に行くことはなかったかもしれません。そう考えると、本当に「神の助け」だったのだと思っています。


ちなみに、そのコーディネーターの女性とは、台湾旅行のたびに連絡する関係です。

(中田ボンベ@dcp)