雨が降らないなら井戸を掘ればいいじゃない、ってやってると…。
今年米国カリフォルニア州などの西海岸地域では暑く乾燥した気候が続き、山火事も多数発生しました。でもこの干ばつの深刻さを理解するには、地中の状態まで見る必要があります。干ばつに襲われた地域では、地面の中まで恐ろしく乾燥しているんです。
NASAが人工衛星GRACE(Gravity Recovery and Climate Experiment)のデータと地上で計測したデータを元に、土壌と地下水の水分保有状況をマップ化しました。このマップでは、今年9月の土壌の水分保有量を1948年~2012年の平均値と比べており、平均値より乾燥度が高ければ高いほど赤っぽい色が濃くなっています。
まず下のふたつのマップは、1番目が土壌の表面2cm、2番目が「ルート・ゾーン」(表面2m)の水分含有量を表したものです。案の定西側が真っ赤になっていて、乾燥のひどさが確認できます。地球全体で見てももっとも降水量の多い地域のひとつ、ワシントン州のオリンピック国立公園でも、史上最大規模となる山火事が起きていました。
土壌表面の水分量の平年との比較。via NASA Earth Observatory
「ルート・ゾーン」の水分量の平年との比較。via NASA Earth Observatory
さらに第3のマップはもっと奥深く、地下水を多く含む地層(帯水層)の状況を示したもので、より長期的なトレンドが見られます。上のふたつよりも赤の濃い地域が多くなっていて、地上がちょっと乾いているだけでなく、より広い地域で地中からも水が失われていく傾向にあることが読み取れます。先日世界中の地下水がどんどん枯渇しているとお伝えしましたが、このマップもそれを反映しています。
しかも西海岸の農業事業者の間には、地下水が枯渇する前に残っている分を確保しようとどんどん井戸を掘る動きがあります。でも残念ながら、「残っているうちに手に入れよう」というこの心理は、問題を加速させるだけです。つまるところ水不足に勝てる人なんていなくて、人間が自然に合わせるしかないんです。
source: NASA Earth Observatory
Maddie Stone-Gizmodo US[原文]
(miho)