安倍晋三首相が9月24日に記者会見を行い、「1億総活躍社会」という新たなスローガンを発表。しかしこの新スローガンの評価があまり芳しくない。
「1億総活躍社会」という新スローガンは、安倍首相の自民党総裁再選が決まった24日の記者会見で初めて登場したものだ。これまで「3本の矢」(「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」)と呼ばれる政策(=アベノミクス)を推進してきた安倍氏は、会見で「アベノミクスは第2ステージへ移る」と宣言。「目指すは『1億総活躍社会』だ」と述べた。
安倍首相によれば、アベノミクス第2ステージの“新3本の矢”は「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」だという。具体的な目標としては、「GDP600兆円」「希望出生率1.8の実現」「介護離職ゼロ」「待機児童ゼロ」などを提示。これらを総括して「1億総活躍社会」とし、実現に向けて、10月上旬に行われる内閣改造では、担当大臣を置く予定だという。
経済の活性化、少子高齢化対策、子育て支援、さらに「介護離職ゼロ」に象徴される社会保障制度への支援が必要なことは、論を待たない。しかし、「1億総活躍社会」というフレーズに対し、ツイッターには、
「私は別に活躍とかしたくないので放っておいてほしい」
といった冷静な声や、
「『一億総火の玉』『1億総ざんげ』を連想したのは私だけだろうか」
など、戦時体制を想起させるとの批判が殺到しており、好意的に評価する声はごくごく少数となっている。担当大臣にはすでに甘利明氏の名前もあがっているが、内閣改造発表の折には、「1億総活躍社会」というスローガンが改めて脚光を浴び、安倍首相への逆風が強まる可能性もありそうだ。
※当記事は2015年09月28日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。