想定していたけれど、やっぱり...。
かれこれ数年前、電子書籍の登場によってその将来を案じられた紙の本。ところが、アメリカの事業団体AAP(アメリカ出版協会)の調査によると、今年1月〜5月で売上が10%ほど落ち込んだのは、電子書籍のほうでした。
これは多くの人が紙の本に立ち戻ろうとしているサイン...? それともニューヨークタイムズ紙が指摘するように、電子書籍と紙の本、両方を使い分けるハイブリッド型読者の増加が顕著になってきているとか?
同紙によると、電子書籍の打撃は専用端末にも及んでいるようです。...そうはいってもタブレットやスマホが普及し続ける今の時代、電子書籍を読めるのは専用デバイスだけではないことを踏まえて考えると、これは当然なのかもしれません。
こうしたニュースに対して、勇敢なアメリカの印刷出版業界。電子書籍の落ち込みを単なる一時的なトレンドとしてみているわけではないようです。というのも大手Penguin Random House、Simon & Schuster、そして日本にも展開するアシェットをはじめ、業界のビッグネーム企業たちが大規模な投資を再開しています。新たな倉庫の建設や流通センターの拡大といった設備投資や、注文や運送の迅速化といった施策を打ち始めているようです。またAAPは個人書店についても、2010年には1,660地域で1,410店舗だったメンバーは、2015年には2,227地域で1,712店舗と増加傾向を記録したといいます。アメリカの各地域で個人書店はまだまだ勢いを失っていないのだとか。
さて今年の夏には、電子書籍に1番お金を使っているという調査結果が出た日本ではどうでしょう?
電子書籍も紙の本も、メリット・デメリットはそれぞれお互い様というか、好き嫌い・向き不向きはあって当然。ただこうやって電子書籍業界と出版業界のあいだで競争が加速すれば、デジタルとアナログのよいところがもっと引き出される可能性も高まるような期待ができます。
とりあえず今の段階で明らかなのは、そう簡単に紙の本はなくならなさそうだってことですね。古き良き紙の時代はまだまだ続きます。
source: The New York Times, Ian Muttoo / CC BY-SA 2.0
Leah Becerra - Gizmodo US[原文]
(Rina Fukazu)