1997年の神戸連続児童殺傷事件の被害女性・堀内めぐみさん(仮名)は、27才になった今も、人生が一変したあの日の出来事を克明に覚えていた。当時9才だっためぐみさんは、「元少年A」から腹部を刺されて生死をさまよいながらも奇跡的に生還したが、その後も長く事件の悪夢に苛まれてきた…。なお、Aがめぐみさんを刺した同日に、当時10才の山下彩花さんがAから金槌で頭を殴打され、意識不明のまま1週間後に死亡した。今回、めぐみさんは、女性セブンの取材に対し、初めて重い口を開いた──。
めぐみさんは看護師として多忙な日常を送るなか、2年前に事件の犯人である元少年Aの両親と対面した。社会人となって、精神的にも受け入れられると判断しためぐみさんの両親が、Aの両親との面会場所である弁護士事務所に連れて行ったのだ。その時の様子をめぐみさんが振り返る。
「会う前までは、ああも言いたい、こうも言いたいといろいろ思うところがあったんです。でも事務所に入った途端、向こうのご両親にいきなり土下座されて、“申し訳ありません”“ごめんなさい”と繰り返されて…。私は呆然と立ちすくむばかりで、その光景を見たら何も言えなくなってしまった。この両親もかわいそうだなと思ったんです。
ただ、私にはどうしても聞かなければいけないことがありました。A本人がどこで何をしているのか。被害者本人として、彼の現状は知っておくべきだと思ったんです。でもご両親は“わかりません。行方不明です”と繰り返すだけでした」(めぐみさん)
Aが2011年から静岡県浜松市に定住し、手記の出版直前に東京に住居を移したこと、少年院時代に法務省の主導で極秘裏に改名していたことを本誌の報道で知っためぐみさんは、素性を隠し続けるAに対して、怒りと失望感を露わにする。
「なぜ彼はここまで国に守られるのでしょうか。2人を殺して手記を出して、ホームページも開設して、いまだに名前も写真も一切出ない。少年法って一体なんなのか。ホームページで本を宣伝して、その本の売り上げで賠償金を払う? そんなお金、絶対に受け取りたくありません。私がAに望むことはひとつしかないんです。ただ、黙って静かに生きてほしい。目立つことをせずに暮らしてほしい。でも、私の思いはすべて裏切られました」(めぐみさん)
※女性セブン2015年10月15日号