脊髄損傷後に手の機能を回復させるリハビリテーションに取り組み始めた際、脳で「やる気」を担う領域によって運動機能を担う領域が活性化することがサルの実験で裏付けられた。自然科学研究機構生理学研究所と京都大、理化学研究所のチームが2日付の米科学誌サイエンスに発表した。
脊髄損傷や脳梗塞の後のリハビリでは、意欲を持って積極的に取り組むと回復が早い傾向があることが知られる。しかし、脳でやる気を担う「側坐(そくざ)核」はこれまで、運動機能に直接関与することはないと考えられてきた。
生理学研究所の西村幸男准教授らは、脊髄損傷後約1カ月のサルの脳を調べ、側坐核の働きが高まると大脳皮質の「運動野(や)」も活性化し、手のリハビリが進むことを確認。側坐核の働きを薬剤で一時的に抑えると運動野の活動が低下し、手がうまく動かなくなった。