30~40年間にわって冷凍保存された食肉が流通していた「ゾンビ肉事件」が起こったばかりの中国で(参照記事)、新たなゾンビ食品が登場した。
中国では「中秋節」に月餅を食べる習慣があるのだが、今年はこんなニュースが話題となった。
9月下旬、「浙江交通之声」などが伝えたところによると、浙江省杭州市の方さんは、自宅の物置で古い月餅を発見した。箱に貼ってあるラベルを見ると、製造年月日は2005年9月3日で、賞味期限は同30日と記載されている。10年以上も経過しているので、当然腐敗しているだろうと思い、開封してみると、月餅にはカビひとつない。腐臭もなく、最近購入したものとなんら変わりなかった。中身はどうだろうと切ってみると、やはりなんの傷みもない。明らかに、不自然である。
これについて記者が製造元に問い合わせたが、回答は得られなかったという。一方、専門家は「防腐剤の使いすぎが原因の可能性が高い」と指摘している。業界の内部資料によると、一部の月餅には、基準値を超えた防腐剤だけでなく、使用が禁止されている漂白剤や着色料まで使用されていることもあるという。こうした危険を踏まえ、世界35カ国以上で中国産月餅の輸入に規制を設けている。ちなみに日本には、中国産月餅に対する規制は存在しない。
一連の記事に対し、ネット民からは「これまで、いったいどれだけの防腐剤を摂取してきたんだろう」「もし死んでも、死体が腐らないかも」といった自虐的なコメントも。中国ではおちおち月見もしていられない状況となっているのだ。
ところ変わって北京市。付さん宅では、1999年もののキャラメルが発見された。「中国法治」(9月19日付)が伝えたところによると、賞味期限は2001年6月。14年以上も過ぎているが、見た目は賞味期限内のものと変わらない。試しにかじってみたが、味も変わらず「製造年月日を知らなければ、賞味期限が10年以上も過ぎたものだとは絶対気づかない」と感想を述べている。
なぜ、こんなことが立て続けに起きるのだろうか? 食品工場を経営する日本人経営者(40歳)は、こう指摘する。
「ここ数年、相次ぐ食に関する不祥事により、最近でこそ当局の管理が厳しくなっていますが、以前は立ち入り検査があってもカネを渡せばすぐに帰っていったので、製造業者はやりたい放題でした。そうした負の遺産は、まだあちこちの家庭に残っているはずです」
家庭で発見され、すみやかに処分されるならまだいいが、食品業者の倉庫で大量に発見されて販売される……なんてことは、想像したもくない。
(取材・文=中山介石)