ナチス・ドイツの独裁者ヒトラー。極悪非道な行為は絶対許されないが、そのスピーチには特徴があった、とDaiGo氏。
「意図的に話に緩急を付けました。冒頭部分は、早口でまくしたて、聴衆が聞くことにやや疲れてきたところで、ぽんと、わかりやすいメッセージを明確に植え付けたのです」
この「最初は速く」して、「本筋部分はゆっくり」という展開は最新の心理学の理論にかなっているとDaiGo氏は言う。
「どんなプレゼンでもセールストークでも、たいていの人は少し疑いをもって聞くものです。『本当かな』って。そのときに、ゆっくり話していると、相手に思考する時間や批判の余地を与えてしまいます。だから、相手がついてくることができるギリギリのスピードで饒舌に専門用語を交えながらしゃべる。すると、相手は半ば思考停止状態になります。そうして聞くのに疲れきってしまう直前に、自分が売り込む商品の最大の長所を述べる。相手の頭の中に残るのは、速く話した最初の部分ではなく、最後のフレーズです」
また、ヒトラーは夕方にスピーチをした。これも午前中より夕方のほうが脳は疲れて判断力が鈍くなるとされる心理学の理論にかなったものだという。