【アトランタ(米ジョージア州)時事】環太平洋連携協定(TPP)交渉を進める日米など12カ国は1日までの予定だった閣僚会合の日程を2日まで延長し、今回会合で大筋合意を目指す構えを強めた。1日夜(日本時間2日午前)の全体討議でバイオ医薬品の「データ保護期間」や、自動車、乳製品の市場開放など残された難題について交渉状況を確認。自動車の「原産地規則」をめぐる協議の進展などを受け、議長のフロマン米通商代表部(USTR)代表が日程の延長を宣言した。
甘利明TPP担当相は記者団に対し、「解決への糸口が見いだされつつあるので、その可能性を信じて全閣僚が努力を続けようということだ」と延長理由を説明。交渉筋によると、オーストラリアのロブ貿易・投資相は、別の国際会議に出席する日程を変更し、アトランタにとどまることを決めた。
7月末に米ハワイ州で開いた閣僚会合は大筋合意に失敗。今回会合で再び合意を逃せば、10月19日のカナダの総選挙、来年夏の日本の参院選、来年秋の米大統領選挙と続く各国の政治日程が障害となって、TPP交渉が妥結のめどの立たないまま「漂流」する可能性が強まる。
12カ国はそうした危機感を背景に今回の会合に臨み、9月26〜29日の首席交渉官会合で未解決の課題について「(実務者レベルで対応可能なものは)かなり片付いた」(交渉筋)と交渉を加速。30日の閣僚会合開幕後も2国間などで協議を昼夜継続し、残る三つの難題のうち、自動車の関税優遇の適用条件となる原産地規則では日本とメキシコ、カナダとの調整の結果、「実質的な決着と言ってよい」(日本政府関係筋)ところまでこぎ着けた。甘利担当相は「1日延ばす価値がある」と意義を強調した。
ただ、最先端のバイオ医薬品を開発した製薬企業に独占的な販売を認める「データ保護期間」をめぐっては、「12年」を主張してきた米国と、「5年以下」を求めてきた豪州を中心にぎりぎりの調整が続く。オバマ米大統領は1日、ターンブル豪首相と電話会談し、妥結を働き掛けた。
乳製品の市場開放では、日本や米国、カナダに市場開放を迫るニュージーランドが強硬な姿勢を崩していない。12カ国は日程を延ばして大筋合意を追求するが、突破口はまだ見えない状況だ。