最近、なにやらオタクの意味が変わってきているようです。
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というのも、「美人すぎるオタクモデル」たる言葉を発見。「美人すぎる」シリーズは、いささか使いまわされた感はあるのですが、それに続く言葉に驚きました。オタクでありモデルであるのです。
調べてみると、この「美人すぎるオタクモデル」として活躍しているのが、雑誌『sweet』『MORE』『BAILA』『MAQUIA』などで活躍するモデル市川紗椰さんです。
市川さんの本業はモデルなのですが、マニアックな鉄道の知識を持ち合わせており、『タモリ倶楽部』でそのセンスを発揮。独自の立ち位置を築いているのです。どうやらアニメや相撲にも精通しているとのこと。これまでのモデルのイメージと随分違いますね。
ただ、色々と思い出してみると、中川翔子さんや栗山千明さん、加藤夏希さんも、市川さんと同様に、マニアックな一面を見せていますよね。キラキラしたモデル・芸能の世界で仕事をしつつも、いわゆる“オタク”な部分があるのです。
しかも彼女たちに共通するのは、それを隠すのではなく、趣味趣向をすべて公にして、明るく“オタク”を楽しんでいるのです。
“オタク”に対する若い世代の価値観の変化
私が想像するオタクとは、映画にもなった『電車男』のそれ。ネット掲示板「2ちゃんねる」に投稿されたオタク独身男性の体験談です。そこで登場したのが、コミュニケーション力が低く、ファッションに関心がなく、アニメが大好きな主人公。少し古い印象でありますが、私のオタクのイメージはこれです。
このオタク像は2004年頃のもの。あれから10年以上の月日が経過し、絵に描いたようなオタクとは違った層が少しずつ登場しているのです。
どちらかというとその当時のオタクが変化したというよりは、若い世代の価値観が変わってきたという印象。前出の4人など、10代20代の若者は、これまでのオタクとは一線を画した“新しいタイプのオタク”といった印象です。
「ドラゴンクエスト芸人」「ジョジョの奇妙な芸人」「バイク芸人」「女子プロレス芸人」「麻雀芸人」など、毎回あらゆるテーマにくくられた芸人が登場し、その専門分野のマニアックな知識を披露し合うTV番組『アメトーーク!』が人気を博したことが、オタクの意味を少し広げたように筆者は考えています。
中川翔子さんは、アニメ・マンガの企画に多数出演しており、「ジョジョの奇妙な芸人」の時に着用した自作の擬音タトゥータイツは放送後に話題となり、平野綾ら女性のジョジョファンが自作タイツをWEB上に公開しました。
数年前には一部のオタクのみぞ知る世界が、同番組により広くエンターテインメントとして扱われるようになったのです。旧世代の元祖・オタクの人からは「そんなものはオタクではない」というお叱りの言葉が聞こえそうですが、ただ、実際に自称・オタクを名乗る若い人は増加傾向にあるのです。
“リア充なオタク”の特徴
また、若者研究の第一人者である、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平さんは、若年層のオタクについて、「リア充(現実社会が充実している人のこと。とりわけ交友関係が充実している人を指すことが多い)なオタク」と表現します。コレまでイメージと一線を画したオタクが登場しつつあるのです。
原田さんの著書『新・オタク経済』を参考に、リア充なオタクを見ていきましょう。彼らの目立った特徴は、「物を買わない」「おしゃれ」「アクティブ」の3つです。
物を買わないオタクがいる
インターネットとマンガ喫茶の登場により、若い世代の「物を購入する」という価値観が随分と変わりました。動画共有サイトが当たり前のようにある生活で、画質さえ気にしなければ大多数のアニメ作品を無料で鑑賞することができます(違法も含む)。
また、作品の資料となるムックや書籍はインターネットの中にあります。以前まで大好きな作品は購入して家に保管する人が多かったですが、現在ではマンガを読みたいときにはマンガ喫茶で十分と考える人も多い。ですので、音楽CD、DVD、マンガといった物を買わずに「オタク」を楽しむことができるのです。
おしゃれなオタクがいる
しかし、彼らは物を全く買わないわけではありません。購入の矛先が変わったのです。原田さんによると、ギャル系、ゆるふわ系の女性や、こざっぱりした髪形・カラフルな眼鏡をかけたイケメンも少なくないリア充オタクは、ファッションにも気をつかうのです。
彼らはオタクでありながらもコミュニケーション能力が高く人間関係も広いので、オタク面以外の友人ともしっかりとつながっているのです。リア充ですね。
「アニメに登場するキャラクターが、かつてに比べてかなり現実的なファッションアイテムを身につけるようになっており、オタクのファッション感度が上がったという側面もあるかもしれません」と、アニメ自体のファッションセンスが向上しているのではと、原田さんは分析します。
発信型のアクティブなオタクもいる
かつてのオタクは多くのコンテンツを購入し、鑑賞し、調べ尽くし、語ると、「消費する」ことに長けていましたが、昨今の若者オタクは少し様子が異なります。
動画共有サイトに「歌ってみた」「踊ってみた」と自身のパフォーマンス動画を投稿。ボーカロイドを使った楽曲の投稿、pixivにイラストを投稿するなど、アクティブに自身を発信するのです。
なかには、DJとしてクラブでアニソンを流したり、アニソンバンドを組んで活動したりと、「外」に向けての発信することを苦と思っていません。また、それを発信しても「オタク」な部分を受けとめてくれる環境が醸成されつつあるのです。
いかがでしたでしょうか。「リア充なオタク」。これらを見ていると、一昔のオタクとは全く違う価値観で楽しんでいますよね。違いますよね。オシャレでアクティブな「リア充なオタク」は、全体の数としてそう多くは無くとも、時代の流れもあって増加傾向にあるのです。
あなたの周りにいるのは旧来のオタクですか? それとも、新しいオタクですか?
【参考書籍】
『新・オタク経済』原田曜平著(朝日新聞出版)