【4】10年スパンで人を育てることを考えます
お金持ちの方たちは、10年先を見て人材育成を行います。
ある経営者は、見込みのある若い社員を大学院に行かせ、その間に2年間、アメリカに留学させました。
留学から帰ってきて大学院を修了したら、今度はアメリカの会社で2年間くらい働かせて経験を積ませます。
留学費用などがかなりかさむ計算ですが、すべて会社持ちです。10年後の会社をつくるのは人だと考えているので
思い切った投資をするのです。その方も「10年後から頑張って働いて、かけたお金を返してもらえばいいから」と語っていました。
それだけコストをかけた人材です。ふつうなら、すぐ幹部に登用したくもなるでしょうが、とくにオーナー企業の経営者はそうしません。
経営層の中心に置くのは古株の社員であることが多いのです。サラリーマン社長が見せるような、
何人抜きで取締役に抜擢するということはあまり見たことがありません。
いくら有能な若手といっても、序列を無視して昇進させれば社内に軋轢が生じるので、あくまでも慎重な姿勢を保つのです。
【5】SNSやネットサーフィンより、読書に費やします
一般のサラリーマンは手元にスマホがあると、つい見てしまうでしょう。休日の自宅や平日のオフィスでも(許されれば)、
ネットサーフィンしてしまう人も多いのではないでしょうか。でもお金持ちの方たちで、時間つぶしにSNSをのぞいたり、
ネットサーフィンする人はいません。
40代、50代であればスマホで情報を見る人も少しはいますが、60代以上ではまずいません。
理由の1つは、総論にも触れられているように、ナマの情報以外、信用しないからです。
と同時に、ネットの情報を見る時間をムダと思っているからです。
そんな時間があれば、読書をします。それもサッと読める文庫や新書ではなくハードカバーの単行本です。
内容は古典や歴史ものです。『論語』など古くから人間の本質や、人の生きる道を説いたような古典を好む人もいますし、
戦国武将ものを好む人もいます。また、戦中に子ども時代を過ごした方は第二次世界大戦にまつわる書物がお好きなようです。
たまに、そういう方から「キミは靖国参拝はどう思うかね」と問われ、答えに窮したこともあります。
【6】お金持ちの方たちは資産を増やすことよりも、減らさないことに気を使います
株式の売り買いのタイミングをいつも気にしていたり、デイトレーダーのように四六時中、
株価の動きやマーケット情報にくぎ付けということはありません。資産の運用管理は私たちのようなプライベートFPに任せてしまうケースが大半。
ただし、インフレに関する情報には敏感で、世の中がインフレになるのを恐れています。所有する資産の価値が下がることを非常に嫌がるのです。
そういう方たちは金融資産がある程度たまってくると、金を買ったり、国内の不動産を買って資産を移し、インフレに備えています。
【7】ゴルフ、絵画、旅行……趣味でストレス解消します
富裕層にとって一般的な趣味といえばゴルフです。商用、プライベートにかかわらず、ゴルフを楽しみます。
そのため、ふだんの休日は家族と過ごす時間があまりありません。その代わりに夏休みや冬休みなど
長い休暇のときは夫婦や家族で海外旅行です。たとえば若いころ苦労をかけた奥さまのリクエストで、
スイスやオーストリアのような風光明媚なところへ出かけます。
お金持ちで意外と多いのが、絵を描く趣味です。水彩画や油絵などスタイルはさまざまですが、
長期の休暇を使って絵に没頭します。絵を知り合いにプレゼントする人もいて、私のオフィスでもいくつか飾っています。
プライベートFP、ガイア代表 中桐啓貴(なかぎり・ひろき)
山一証券を経て、メリルリンチ日本証券で富裕層の資産運用コンサルタントに従事。米留学から帰国後、
FP法人ガイア設立。著書に『会社勤めでお金持ちになる人の考え方・投資のやり方』など。
(伊田欣司、大下明文=構成 PIXTA=写真)(PRESIDENT Online)