貧困女子 元フリーアナ芸人は5000円ギャラとバイトで月収18万 | ニコニコニュース

フリーアナから芸人に転身した「ヴァージン」の荒井かなさん
NEWSポストセブン

 厚生労働省や各研究所、専門家などのデータによると、年間の可処分所得が114万~125万円前後が“貧困”とみなされる。そして、一人暮らしの20~64才女性の3人に1人が“貧困状態”だという。さらには、「お金があっても貧困」「仕事があっても貧困」という“隠れ貧困女子”という深い問題もある。

 25才の吉田由美子さん(仮名)は、都内で一人暮らしをしながらエステティシャンとして働いている。体力仕事で勤務時間は長いが、月収は25万円。貧困とは遠いように思える。しかし、由美子さんが月に使えるお金は、多くても5万円。収入のほとんどは、借金返済に消えている。

「ここ最近は、いろいろな支払いを終えると3万円くらいしか残りません。国民年金は払っていないし、区民税も滞納してます。それを払ったら、生きていけなくなっちゃう。

 なんでお金がないかというと、私、歯の矯正で130万円のローンを組んだんです。半分は貯金で払って、残りは銀行から借りました」

 130万円の半分なら、由美子さんの収入があれば返せない額ではないはずだ。しかし、由美子さんは銀行から借りたお金を“使い果たした”。

「ちょうどその時、彼氏と別れちゃって、同棲を解消して引っ越したんです。通帳を見たら、銀行から借りたお金が振り込まれていて、それでベッドとか買っちゃった。だって、やっぱり彼氏と一緒に使ってたのは使えないじゃないですか。

 それでお金を返せなくなっちゃって消費者金融ローンに駆け込んだんですけど、審査が通らなかったんです。昔、リボ払いで使いすぎて返済が滞ったからかなぁ…。両親は離婚していて頼れないから、おばあちゃんにお金を借りて少しずつ返済しています」

 それでも由美子さんは、実家から送られてくる米、業務用スーパーで買う3パック89円の納豆、500gで399円の格安のソーセージや冷凍ハンバーグがあれば食べ物には困らない、と強気の姿勢を崩さない。

 美容院に行く月は、カット、カラー、トリートメントで2万円はなくなるから大出費だが、“女子力”はあまり下げたくない。つらいけれど、2か月に1回にしている。

 由美子さんの貯金は0円だが、「借金のことも貯金のことも今は考えたくない」と下を向いた。

 都内の私立大学を卒業した井上沙織さん(仮名・24才)は、大学で学んだ法律の知識が生かせる企業を探して就活していたが希望は叶わず、スーパーの下請け会社で勤め始めた。

「野菜などの生鮮食品をひたすらパック詰めする作業です。工場には、パートさんや派遣さんもいましたが、そういう人は残業はしない。代わりに遅くまで残業するのは私たち正社員でした。でも、残業代は出ない。上司に言うと、“正社員なんだから当たり前だろ”と怒鳴られた。体はボロボロだし、恐怖心は消えないし、1年で辞めました」

 それ以来、沙織さんは“正社員恐怖症”になり、正社員を避けて、バイトや派遣で仕事を続けている。当然、給料は少なく、実家で暮らし、仕事に行く毎日だ。

「今は派遣で、菓子製造工場の仕事をしています。給料は手取りで12万~13万円。残業はない代わりに、ボーナスはもちろんないし、交通費も出ません。

 勤め先が、実家の近くなのが不幸中の幸いです。一人暮らしをしたいと思っていますが、この金額では到底できません。友達と遊ぶお金だって切り詰めないとなくなってしまう。今は年金なども親に払ってもらっています。もし、万が一、親がいなくなったらどうしよう、と不安でたまらなくなる時があるんです」

 関西の私立大学を卒業してフリーアナウンサーとして働いていた荒井かなさん(32才)は、海外留学経験もあり、いわゆる“高学歴”だ。しかし現在、月に5000円の給料で働いている。

「留学から帰ってきて、フリーアナウンサーになりました。給料は歩合制で、月に10万円くらいだったかな。他にもバイトをかけもちしてました。

 そんな生活をしているなかで、昔からの夢、“芸人になりたい!”という気持ちが強くなった。それで、4年前に吉本興業に入って、女芸人としてデビューしたんです」

 かなさんは、女芸人トリオ『ヴァージン』のメンバーとして舞台に立っているが、お笑いで得られる給料は月に5000円もあればいいほうだ。

「月に1回ライブをしますが、チケットが売れないから自分で買い取って、2万円くらいはそれでなくなります。そうすると、その時点で赤字です。だから、ナレーションの仕事をしたり、テレアポのアルバイトをしたり、いろんな仕事をして月に18万円くらいの収入を得ています」

 住まいは都内にあるワンルーム。家賃は6万7000円で、これを払うと手元にはわずかしか残らない。服は友人からのおさがりをもらい、美容院にも行けないので、染毛剤を買ってきて、自分で染める。貯金もなく、健康保険料は実家の親に払ってもらっている。

「友達とご飯や飲みに行くときは、お金がないので、家でご飯を食べてから行くようにしています。せめてもの節約です。

 たまに、大学時代の友人に会うと、みんな正社員として働いています。親も年をとっていくし、いつかブレークして今の状況から抜け出したい、と思いますが、好きなことをしているので今のままでも楽しいです」

※女性セブン2015年10月15日号