女優・井上真央主演のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)で、最終回(12月13日放送)の見せ場となる、文明開化の象徴的な建物・鹿鳴館に招かれた美和(井上)と楫取素彦(大沢たかお)が優雅にダンスを踊るシーンの撮影が行われた。
幕末の思想家として知られる吉田松陰の末の妹・美和を主人公に、開国から江戸幕府の終焉を経て、社会体制も、文化も、支配構造も、大きく転換した明治時代を描いている本作もいよいよ終盤。会津などで戦闘(戊辰戦争)が続くなか、元号が「明治」に変わったのが1868年。それからわずか5年後の明治5(1872)年には、群馬に富岡製糸場が建設される(2014年、世界文化遺産に登録)。
明治維新後、新政府が日本の近代化のための資金を集める方法として、生糸の輸出が一番効果的と考え、養蚕が盛んな群馬に洋式の繰糸器械を備えた工場を建設したのだった。群馬を最も重要な県と位置づけた政府は、そのリーダーとして楫取に白羽の矢を立てる。11日放送の第41回「いざ、群馬へ」では、楫取が群馬県令(知事)として新たな使命を果たすことを決意する経緯が描かれるとともに、楫取とその妻・寿(優香)に同行して美和も群馬行きを決める。しかし、新天地では、“よそ者”の美和たちが新たな試練にさらされることになる。
土屋勝裕チーフプロデューサーは「最終回、鹿鳴館のシーン、華やかなドレスの美和と黒い礼服の楫取が優雅にダンスを踊る姿は、未来への希望に満ちあふれ、幸せに輝いています。貧しい杉家で畑仕事を手伝っていた女の子が、多くの友や家族を失いながらも、強く生きてここまでたどり着いたのかと思うと、とても感慨深い」とコメント。
番組視聴率も第36回「高杉晋作の遺言」(9月6日放送)が9.3%のひと桁台を記録して以降、明治時代に入ってからは上昇傾向にある。美和が京都で久坂玄瑞の隠し子とは知らずに秀次郎と遭遇した第37回「夫の忘れがたみ」(同13日)が11.8%、第38回「届かぬ言葉」(同20日)が10.7%、毛利敬親(北大路欣也)が亡くなり、奥御殿の解散を描いた第39回「新しい日本人」(同27日)が12.9%、萩にやってきた秀次郎を自らの手で育てようとした美和が結局、実の母・辰路(鈴木杏)のもとに返してしまった第40回「二人の母」では13.8%を記録した。華やかな鹿鳴館までどのようにしてたどり着くのかが、今後の見どころとなりそうだ。