いまや社会問題の一つともいえるクレーマー被害。2014年9月には、男女3人がコンビニエンスストアの店長らにクレームをつけたうえでタバコを脅し取り、示談金名目で金銭を要求し逮捕される事件があった。また、このような事件までいかなくとも、客がほんの些細なことに腹を立て、大声でどなり散らす光景を目にしたことのある人はいるだろう。その姿は、店員はもちろん他の客にとっても気持ちのいいものではない。むしろ、クレームをつけている本人こそが、他の客にとって迷惑な存在になっていることもある。
なぜ、クレーマーは周囲の目を気にすることなく声を荒げるのだろう。心理学者の内藤誼人先生に聞いた。
■自分は正しい――。クレーマーの基本スタンス
「クレームをつける人は、自分が偉いと思い込んでいるのです。また、本人は正しい要求をしていると信じているので、自分の理不尽さに気づかないのです」(内藤先生)
だが、周囲の人の苦々しい表情や冷たい視線を見れば、理不尽な要求をしていることに気づくのではないだろうか。
「たとえ、周りの人からすると理不尽な要求に思えても、当人はそう思っていないのですから、気づくことはないでしょうね」(内藤先生)
周囲の人にとっては迷惑行為であるにもかかわらず、本人はそれを正当な行為だと思っているとはタチが悪い。では、実際にクレーマー被害にあったときは、どのように対処をすれば良いのだろうか。
「『どうしてそんなことをしなければいけないのですか?』と相手の要求を突っぱねることもできますが、基本的には従うのがいいでしょう。もちろん要求の度合いにもよりますが」(内藤先生)
「自分は偉く、正当な要求をしている」と考えるクレーマーの特徴からすると、その要求に従わないのは危険なことのようだ。
■社会的地位の高い人ほどクレーマーになりやすい傾向
では、どのような人がクレーマーになりやすいのだろうか。
「台湾の国立中山大学が、飛行機の乗客にクレームのシナリオを見せ、それがどれぐらい理不尽なものなのかを判断してもらうという調査を行いました。その結果、ファーストクラスの乗客の方が、エコノミークラスの乗客に比べ理不尽なものに寛容だということがわかりました。つまり、社会的ステータスの高い人の方が、理不尽な要求を正当な要求と考える傾向が強いということです。社会的立場の高い人の方が、クレーマーになりやすいのかもしれませんね」(内藤先生)
自分がどんな立場になったとしても、大切なのは謙虚な心。周囲への感謝や思いやりを忘れないよう心がけたいものだ。
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●専門家プロフィール:内藤 誼人(ないとう よしひと)
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)