●片手操作は難しそうな6インチ級
ソフトバンクは8日、同社の携帯電話・スマートフォンの2015年冬・2016年春モデルの新製品発表会を開催し、この中でGoogleの「Nexus 6P」を日本のキャリアとしては独占販売することを明らかにした。Y!mobileブランドで販売するNexus 5Xと合わせ、同社系列でNexusの2015年モデルを両方扱うことになる。今回、ハンズオンコーナーでNexus 6Pの実機に触れる機会があったので、レポートしよう。
○iPhone 6s Plusよりちょっと薄いが大きい
Nexus 6Pは、9月末に発表されたばかりのGoogleの「Nexus」シリーズのスマートフォンだ。2014年はGoogleに買収されたモトローラが開発を担当したが、6Pでは中国のファーウェイが開発を担当している。
画面サイズは5.7インチで、「6」では5.96インチだったのでやや小さくなったが、「ほぼ6インチ級」というサイズはキープしている。ディスプレイは狭額縁タイプなので、本体の幅は約5mm小さくなったが、縦方向はほぼ同等(0.14mm長くなっている)。そのため全体に縦長になった感がある。画面解像度は変わらずWQHD(2,560x1,440ドット)のままで、わずかに解像度は高くなっている。
ボディカラーはフロスト(ホワイト)、アルミニウム(シルバー)、グラファイト(ブラック)、ゴールドの4色。本体は178gと、最近のスマートフォンとしては割と重量級だが、重さのバランスがいいのか、iPhone 6s Plusと比べても、さほど重たいという印象はなかった。
●ホワイトバランスが気になるカメラ
○やけに「赤い」カメラ
外見上の特徴としては、本体背面のメインカメラ部の盛り上がりと黒い「窓」の部分が目立つ。ここは発表当時の印象からは、まるでテトリスの『「』ブロックのように出っ張っているのでは、と思っていたのだが、現物を見ると全然そんなことはなく、出てはいるのだが、むしろ控えめだった。むしろNexus 5Xのカメラ部の方がよほど飛び出している。
メインカメラの解像度は12.3Mピクセル。セルフィ用インカメラの解像度は8Mピクセルで、かなりセルフィ需要を意識しているようだ。4K動画の撮影や240fpsのスロー撮影、タイムラプス、パノラマ/360度パノラマ撮影などが可能だが、レーザーAFの採用などで全体的なレスポンスは良い。
それより気になったのが、今回真っ白なテーブルクロスの敷かれた上で撮影したのだが、画面の8~9割方を白い布が占めた状況では、かなり赤味がかかって撮影される傾向があった。何台かの展示機全てで同じ傾向があったので、個体差ではないように思う。
やや薄暗い会場での複合光源という意地の悪い条件での撮影だったので仕方がない部分もあるだろうが、iPhoneなどはきちんとした色で撮れていたので、画像処理の問題ではないだろうか。ソフトウェアの修正で改善するようであれば、早めに直してほしい。
●iPhoneユーザーも心動かされる出来
○操作は快適
CPUにはSnapDragon 810を搭載し、メモリは3GBと、現在のスマートフォンとしては最高レベルの性能を誇る。もちろん、一般的な操作はいずれも快適だ。810は発熱性が高いCPUとして悪評を買っているが、全体的に大柄なこともあってか、会場ではそれほど影響を感じなかった。ここはある程度使い込んでから確認してみたいところだ。
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Nexus 5Xと比べてもやはり一回りキビキビした感じが強く、いかにもハイエンド機種といった感じで、普段はiPhoneのヘビーユーザーである筆者も、これならかなり欲しくなる。
気になる価格だが、32GBモデルで機種代金が78,720円(3,280円×24回)、MNPでは実質無料になるという。64GBモデルの場合は機種代金が85,920円(3,580円×24回)、MNPで実質7,200円(300円×24回)と、Googleからの直販価格(74,800円)よりはやや高いものの、月々サポートを考えれば納得できる範囲だろう。
ドコモのNexus 5Xはもちろん、iPhoneなどと比べてもかなり安い。新規・機種変の場合の価格は未定とのことだが、あまり大きく変わってしまうとせっかくの旨味がなくなるので、慎重な価格設定を願いたい。
ドコモのNexus 5Xはドコモワールドの中の異邦人という感じで1つだけポツンと浮いていたが、ソフトバンクは専用サービスが少ないせいか(iPhoneで慣れたこともあろうだろうが)Nexusシリーズとの相性がいいように感じる。ソフトバンク=iPhoneというイメージも強いが、Nexus 6Pはその間に割って入るにふさわしい実力を持った端末だ。カメラのホワイトバランスだけが心配だが、製品版までには修正されると期待している。
(海老原昭)