組み体操の是非が話題になる中、ツイッターで「安全な組み体操」を描いた漫画が拡散しています。作者は漫画家のアーノルズはせがわさんです。ネット上では「平和を感じる…」「じわじわくる」など、共感の声が広がっています。この秀逸な漫画に込められた思いとは? アーノルズはせがわさんに聞きました。
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一言だけ「earth」
漫画は、四つんばいになっている子どものアップが一コマ目に描かれています。ところが、ニコマ目では、子どもたちは、サークル状に並んでいるだけ。ピラミッドのように上には積み上がっていません。
男子も女子も、太めの子も、そうでもない子も、真剣にお互いを見つめています。コマには一言だけ「earth(アース)」の文字が浮かびます。
「地球と組んでますね」
漫画は瞬く間にリツイートされました。10日9日13時の時点で1万4千を超えています。
漫画に対しては、次のようなコメントが寄せられ、共感の輪が広がっています。
「安全性と平和を感じる…」
作者「そんなに深い意味はないのですが…」
なぜ、今回の漫画を描いたのか。漫画配信サービス「GANMA!」などで作品を発表している漫画家のアーノルズはせがわさんは「そんなに深い意味はないのですが、少しでもピリピリした世の中に笑いが生まれればいいなと思って」と話します。
「普段からくだらない事しか考えてないので、『危険な組体操』という情報からじゃあ安全な組体操って何だろう?という発想です」とアーノルズはせがわさん。「描いてみたら組み合ってないので組体操じゃなかったんですがね…」
組み体操については「自分も小学校6年生のときに体験しましたが、確かに危険ですね」と言います。
「あそこまで高くはやりませんでしたが、今まで体を鍛えたりしてこなかった子供がいきなりあんな試練に立たされるのもどうだろうと疑問に思います。協調性や団結力を高めるものなら他にも探せばありそうですし」と指摘します。
子ども時代の思い出については「僕は1番下の土台の役で、あまりに重くて手が震えてもう無理だ!って思ったときに隣で一緒に支えていた女の子が結構普通に耐えていて自分の非力さに嫌気がさしましたね」と明かしてくれました。
大阪の中学校ではけが人
大阪府八尾市立の中学校の運動会で9月、「10段ピラミッド」が崩れ中学1年男子の右腕が骨折した事故がありました。この学校では昨年と一昨年にも組み体操に参加した生徒計6人が骨折していました。
組み体操をめぐっては、「感動」や「一体感」が優先されるあまり、子どもたちの安全に目が向けられていないのではないか、という指摘があります。早くから組み体操について問題提起してきた内田良・名古屋大准教授は、「組み体操の集団主義、『みんな一緒にやる』ことへの違和感を多くの人が抱いている。でも現場では、一体感や感動という言葉で、集団主義の問題点が覆い隠されています」と指摘しています。