メールを受信したらちょこっとめくれて通知するiPadケース。部屋から誰もいなくなるとクルクル巻き上げられ、部屋に戻ると花が咲くかのように広がるスクリーン。まるでウィリアム・ギブスンさんの小説から出てきた未来の技術みたいな感じですが、もしかしたら近い将来実現可能かもしれません。
MITのTangible Media Groupは、柔らかかったり、触知性があったり、空気圧が関係したりするようなインターフェースの研究を行っているところ。そんな彼らが公開した新たな動画では、「uniMorph」という技術が紹介されています。安価ですぐに作れる薄いフィルム状のインターフェイスで、電圧が加わると形が変化するものなんです。
uniMorphに似たコンセプトはすでにしばらく前から存在し、「unimorph actuator(ユニモーフ・アクチュエーター)」などと呼ばれていました。マイクロロボットなどに使われたり、太陽光と熱に反応する建築に使おうという試みもあります。
でもTangible Media Groupのものはインターフェースのデザインにこれを応用したもの。来月には「ユーザー・インターフェース・ソフトウェアとテクノロジー」に関するシンポジウムでuniMorphの研究プロセスに関して発表を行うそうで、その資料はこちら(pdf)で公開されています。でもおしゃれな音楽とともに動画で見てみると一番わかりやすいでしょう。
uniMorphは、二種類の別の素材でできた薄いレイヤーで構成されています。上には機械特性が様々な状態で変わらないことが売りのデュポン社の「カプトン」の層が。その下には熱を加えられると変形してしまうプラスチックの「ポリエチレン」の層があります。
この二つの層でできた素材が太陽光などで熱せられる、もしくはそこにもう一層、電気を通す銅製の層を載せてそれを使い熱することにより形が変わるようになっています。これは「passive actuation」(受動アクチュエーション)と呼ばれるもので、下の層が膨張することで、上の層を引っ張りあげ、これにより生じる張力でシートが巻かれるように動くのです。
Tangible Media Groupはこのシンプルなコンセプトを応用し、特定の場所に熱を加えることにより、様々な動きを生み出しています。カールするような巻き方、ねじれるような動き、折り紙のように折れるなど。また、平らな素材の部分部分を熱して筒状にしたり、ピラミッド状、立方体やコーン状に変形させたりといったことも。
この素材の上に電子部品を乗せれば、通知が来ると縁がチラッと開いて知らせるiPadカバープロトタイプや、LEDをオンにすると自動で開いたページまで顔をもたげてくれるブックマークなどもできるというわけ。動画では、普通のプリンタでデザインを印刷したものにトーンを転写、過酸化水素と塩酸による銅のエッチング処理を施し、プラスチックとカプトンを貼り付けることで、いとも簡単にインターフェースを作っています。
シンプルなアイデアではありますが、作成プロセスも簡単で、驚くほど幅広く応用が効くものとなっています。動きが生物的なところは(ちょっとテスラのニョロニョロ充電ロボにも通ずるところがあるかも)ダメな人はダメかも知れませんが、LEDで光ったり、ぶっきらぼうにバイブするのではなく、ペロッとめくれて通知をお知らせするスクリーンのある未来も素敵かもしれません。
source: MIT Tangible Media Group; h/t Creative Applications
Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文]
(abcxyz)