だって私ブラックで飲むけどサイコパスじゃないもん。絶対ちがうから! 信じてぇぇぇぇ!
心理学にはサイコパシー(精神病質)、ナルシシズム(自己陶酔)、マキャベリアニズム(他者操作的)という「暗黒の三要素(ダーク・トライアド)」と呼ばれている人間の三つの特性があります。この度、Appetiteという科学ジャーナルに掲載された新しい研究によると、苦い味(とくにブラックコーヒーやラディッシュ、ビールやセロリ)を好む人々は、このダーク・トライアドに加えて日常的なサディズム(加虐性愛)という特性で高得点をみせる傾向にあるそうです。
こういう研究結果が発表されると、ついつい面白がって「ブラックコーヒー飲む人=サイコパス」と単純化して性格テストにしちゃったりしますよね。友人が遊びに来たときにこっそりブラックコーヒーとビールとラディッシュとセロリを出して反応をうかがっちゃったりしちゃうもんです。
でも性格テストを面白がる前に、このリサーチについて掘り下げてみましょう。この研究、実際に飲み物や食べ物を出して好みをテストしたわけではないようです。アンケート形式で食べ物と味の好みについて答えてもらったんですね。そう、ここがポイントです。というのも、私たちが好きな食べ物や味の話をするときって嘘ばっかりついてるんです。
私たちの食べ物の好みはそのときどきによって異なりますし、自分自身で説明する「食べ物の好み」は毎回大きく違っています。そして一部の例外を除いて、実際に私たちがどう食べ物を選ぶか、何を食べるか、何を美味しいと感じるか、といったことは「私○○が好きなの」といった発言とあまり関連性がなかったりします。
ものすごく甘いレモン風メレンゲパイを注文するときに「酸っぱい味が好きなんだ」と言ったり、「トマトが入ってるとそれだけで食べられないの」と言う人がケチャップが大好きだったり。好きな食べ物を説明する時ってみんな矛盾だらけですよね。
私もいつも「ケーキは好きじゃないんだ」と言ってます。ほんとに好きじゃないので嘘じゃないんですが、それでもなぜか焼く前のパンケーキ生地を指にとって味見させてもらって幸せになったりするんです。
今回の研究で、「オレの心はブラックコーヒーのように深い闇を抱えているぜ。そしてオレはブラックコーヒーが大好きだぜ」という回答がたくさん集まったかもしれませんが、これは本当に何が好きかというよりも、私たちが自分たちのことをどういう人間として説明したいかのほうが大きく関連していますよね。
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Ria Misra - Gizmodo US[原文]
(塚本 紺)