『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズなど数々の大ヒット作を手掛けてきたロバート・ゼメキス監督が、最新作『ザ・ウォーク』を引っ提げ2年ぶりに来日。くしくも『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』(1989)で主人公マーティとドクが訪れた「未来」の日、2015年10月21日に都内で行われた記者会見に出席したゼメキス監督は、「バック・トゥ・ザ・フューチャー・デーに、ここに居られることがうれしい。30年、あっという間でした」と感慨深げに語った。
この日の会見について、ゼメキス監督は「この特別な日にここに居られることが、偶然なのか、必然なのか、皆さんの判断に任せたい」と含みを持たせつつ、続編の可能性については「PART3で完結しているのでありません」とキッパリ。さらに、マーティとドクに対しては「もう時空をいじくるな! と伝えたいですね」とジョークを飛ばしていた。
第28回東京国際映画祭のオープニング作品に選ばれた『ザ・ウォーク』は、1974年にニューヨークのワールド・トレード・センターで命綱なしの空中綱渡りに挑戦した実在のフランス人大道芸人フィリップ・プティ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)の生きざまを描くヒューマンエンターテインメント。高さ411メートル、地上110階の高さに浮いているワイヤー上を進む空中闊歩シーンは、めまいがするほどの圧巻映像が展開する。
ゼメキス監督は、本作を映像化しようと思ったきっかけについて「まず、空中綱渡りを体感できる映像を作りたかった」と説明し、「ほかのアートでは実現できないスペクタクルが、映画ならできる。とにかく撮影はワクワクしたね」と振り返った。
また、主人公フィリップのキャラクターにも惹(ひ)かれたというゼメキス監督は、「(彼の)アーティストとしての情熱を表現せずにはいられなかった。フィリップの作品(空中綱渡り)は極端でクレイジーではあったけれど、多くの方は彼のクリエイティブなビジョンを理解できるはず」と思いを語っていた。会見にはプロデューサーのジャック・ラプケも出席した。(取材:坂田正樹)
映画『ザ・ウォーク』は2016年1月23日より全国公開