中国メディアの北京商報網は19日、生産能力の過剰など深刻な問題を抱える中国の鉄鋼メーカーが再び国外に目を向け始めたことを伝え、一部の鉄鋼メーカーが西アフリカのリベリアに工場を建設することを計画していると報じた。
記事は、中国の鉄鋼メーカーは中国国内の過剰な生産能力を「需要のある然るべき場所」へと移すと同時に、原材料の輸入に必要となる人や時間などの各種資源を節約することを目的に国外に工場を建設しようとしていると伝えた。
続けて、中国の鉄鋼業界のアナリストの発言として、中国の鉄鋼メーカーは主に、鉄鉱石などの資源が豊富で人件費が安く、さらに鉄鋼需要に供給が追いついていない国に工場を建設していると指摘。こうした動きを通じて、中国国内の過剰生産能力を削減すると同時に、鉄鋼メーカーは人件費や物流コストを削減することができると報じた。
さらに記事は、2014年の中国の粗鋼生産量は8億2300万トン、粗鋼生産能力は12億5000万トンに達したと伝える一方、14年の需要量はわずか7億トンほどだったと指摘。生産能力が需要を大きく上回るなか、11年から中国では鉄鋼価格が急落し始めたと伝え、鉄鋼メーカーの業績も悪化していると指摘した。
続けて、アナリストの指摘として、「鉄鋼メーカーが手にする粗鋼1トンあたりの利益はピーク時には1000元(約1万8900円)ほどだったが、その後は豚肉1キロ程度の金額しか儲からなくなった」と伝え、15年上半期の1トンあたりの利益はわずか0.43元(約8円)にとどまり、「この金額ではアイスキャンディー1つも買えない」と報じた。
さらに記事は、こうした現状を打破するため、中国の鉄鋼メーカーが相次いで国外に工場を建設しているとしながらも、業界内からは「進出先の政治や法律の順守のほか、環境保護や労務に関してリスクが存在することを十分に認識すべきだ」との声があがっていることを伝えた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)